映画『ロスト・イン・トランスレーション』ネタバレ感想 同じ言語で話すなら思いは伝わる?

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ネタバレ・あらすじを含む感想です。

この映画を見た方や、この映画に興味のある方と、感想を語り合えたら嬉しいです。

ネタバレを含みますので、お嫌な方はここまででお願い致しますm(._.)m

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『ロスト・イン・トランスレーション』ネタバレ感想

同じ言語を話すなら思いは伝わる?

言語の異なる、まったく興味のない国へ来てしまったアメリカ人のお話です。

一言でいうなら、そういう話です。

山場という山場はありません。

でも、この映画、2004年のアカデミー賞で4部門ノミネートされ、いまだにこの映画が好きだという人も多いです。

私も、なんとなくですけど、ずっと記憶にありました。

なんでだろうなぁと思うに、『ロスト・イン・トランスレーション』という言葉の意味が、監督の狙い通りに、私の胸に届くからなんだろうなと思われます。

直訳すると、『翻訳の中で失われるもの』、でいいのかな?

ある言語から別の言語へ訳するとき、伝えることのできない部分がどうしても出るそうです。

うん。わかります。

主人公は、アリメカ人俳優のボブ・ハリスと、同じくアメリカ人の、若き人妻シャーロットです。

ボブはCMの仕事で日本に来ました。日本には何の興味もなく、仕事にも全然乗り気じゃありません。

シャーロットも、カメラマンの夫についてきただけで、日本に興味があったわけではありません。

ボブとシャーロットはまったく知らない同士で、偶然、同じホテルに滞在します。

日本に興味のない二人は、翻訳からこぼれ落ちてしまうものどころか、日本という国が理解できないし、ボブに至っては理解する気ゼロ!という感じです。

そもそも、二人は、それぞれに問題を抱えています。結婚や仕事について。つまり、日常のことで手一杯なんです。

ボブは最近、映画の仕事がありません。日本でのCMは200万ドルという破格のお値段なのですが、なんとも面白くなさそうなのは、やっぱり俳優としてのプライドなのでしょうか。

おまけに、奥様とも倦怠期で、夫婦の会話は噛み合いません。家が恋しくなって電話をかけても、「電話なんかするんじゃなかった」とつぶやいてしまいます。

シャーロットも、夫との意思疎通がうまくいっていませんでした。

結婚して2年のシャーロットは、ボブの結婚生活が25年と聞いて、「すごい」という感想を述べます。

その感想で、シャーロットの結婚生活の危機を感じてしまいます。

シャーロットと夫は、同じ言語を話しているのに分かり合えない。同じ言語なのに、話せば話すほど、消えていくなにかがある。不思議ですね。

シャーロットがボブに、「年とともに楽になる?」と聞きます。

ボブは「No」「Yes」と、両方言っちゃいます(笑)

でもまあ、シャーロットは、ボブが問題を抱えていることを見抜いていましたが。

気持ちが離れていく夫婦の間に、言葉はどれくらい有効なのでしょうね?

話し合うことが大事なときもありますが、言葉を尽くしても、虚しいときってありますよね。

お一人様の私には、夫婦のことなんて分かりませんけどね。

言葉にならない思いが伝わるとき

スクランブル交差点

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ボブとシャーロットの関係は不思議です。

年も違えば、生活する範囲も仕事も違う二人ですが、異国の地で、お互い孤独で、話をするうちに、二人の間になんらかの感情が芽生えます。

それこそ、言葉にできない感情です。

恋愛? 疑似親子? 同病相憐れむ? 同志って感じ?

言葉にすれば、すべて違う気がしますし、そのすべてのような気もします。

二人が顔を寄せて語り合っているところは恋人同士のようだし、静かにシャーロットを励ますときのボブは父親のようだし、ボブに甘えた素振りを見せるときのシャーロットは娘のようです。

お互いの結婚生活を語り合っているときは、同志という感じでしょうか?

一つのベッドで過ごしても何もおきませんでしたが、ボブがうっかり別の女性と寝てしまったら、シャーロットは怒ってしまうし。

ほんと、不思議で、曖昧な関係です。

でも、最後、二人が雑踏の中でキスを交わすとき、言葉にすると失われてしまうものを、二人はちゃんと共有して確認しあったのではないでしょうか。

見ている私も、ああ、そういうことなんだなと感じたから、この映画が印象に残っていたのだと思います。

「そういうことってどういうこと?」と尋ねられたら、言葉にはできないんですけどね。

たぶん、言葉を尽くせば尽くすほど、言いたいことから離れていくのだろうと思います。

もし、「なにも分からないよ!(怒)」と思われたとしても、涙ながらに「バイ」と言うシャーロットがかわいすぎるので、彼女のかわいさに感動できたら、それで十分じゃないかな~、と思います。

東京・新宿・パークハイアット 観光気分で見てもいい

この映画は、東京観光の映画として見ても面白いです。

なにが面白いって、東京に全然興味のない人の視点からなので、観光的でないところが面白い。

積極的に観光しないので、ホテルで過ごすシーンも多く、パークハイアット東京の様子がよく分かります。

プールやジムもありますが、私はやっぱり、バーがよかった。

雰囲気もいいし、ボブの話を軽やかに聞き流すウェイターもいるし、専属のバンドをカラオケ扱いする客がいても許容されているし、いいバーだなぁと。

部屋から見える景色も、朝も夜も素敵です。

一生泊まることがないだろうから、この映画で堪能したいと思います。

車窓から眺める、何気ない東京の街もきれいです。車窓の風景って旅情があっていいですよね。

奇妙な日本という部分は、ちょっと食傷ぎみなので、そのへんは飛ばしてもいいかな~と思います。

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映画情報

製作年/2003年
製作国/アメリカ・日本
監 督/ソフィア・コッポラ
出 演/ビル・マーレイ スカーレット・ヨハンソン

日本での初公開年は2004年です。

監督のソフィア・コッポラが脚本も担当。自身の体験に基づいているそうですよ。

主演のスカーレット・ヨハンソンは、同ブログで紹介した『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』という映画にも出演しています。

『シェフ』のスカーレットは妖艶という感じです。

妖艶なんだけど、食いしん坊なソムリエ役で、美味しいものを出されると、すぐに折れちゃうかわいい女性を演じています。

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