映画『恋する人魚たち』ネタバレ感想 60年代の母と娘に胸がきゅ~っ!とする理由

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超絶よき女シェールと、超絶可憐なウィノナ・ライダー、超絶かわいい子供時代のクリスティーナ・リッチを堪能できる映画です。

なんとアホっぽい感想か!と言わないでいただきたい。

……いえ、アホで結構でございます!

とにかく、この女性3人の演じる親子が超絶チャーミングなのですよ。

というわけで、映画『恋する人魚たち』の感想を語ってみたいと思います。

「私、シェール(orウィノナorクリスティーナ)が好きなの~」という方も、「最近、母親との関係に疲れているのよね~」という初老諸姉も、よろしかったらお付き合いください。

ただしネタバレ・あらすじを含みます

お嫌な方はここまででお願い致しますm(_._)m

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『恋する人魚たち』ネタバレ感想

1963年、マサチューセッツ州の小さな田舎町に引っ越してきたフラックス一家。フラックス家の引っ越しは18回に及び、理由はシングルマザーであるレイチェルの気分次第である。引っ越し先の決め方は、目を閉じて、指をさした場所。15歳の長女シャーロットは複雑なお年頃ゆえ、母とはなにかと対立する。次女ケイトは母と姉の癒しの存在であるが、水泳オタクで、こちらも少々変わった少女であった。

60年代の母と娘に胸がきゅ~っ!とする理由

この映画は1990年公開の映画で、私が見たのはプラス2、3年後ではないかと思います。

で、そのときは、シンママであるレイチェルの奔放さが印象に残りました。

さすがアメリカ、シンママ(当時はこの言い方もなかったはず)といえど、なんと自由奔放であろうかと。

それが30年経って見てみると、レイチェルの自由さより、母娘の葛藤のほうが胸に迫りました。

なんというか、変わらないのですよね。母と娘のバトルなんて、時代や国が違っても。

母であるレイチェルを、怒りを込めて見るシャーロットの目つきとか、レイチェルが大人げなくシャーロットを煽る口調とか、既視感が半端ないです。

レイチェルが普通の母親と違い、好き勝手やっているからシャーロットが反抗する、というのも事実ですが、たとえレイチェルが“普通の母親”だったとしても、同じように親子喧嘩を繰り返していたかもしれません。

そんなもんですよね、親子って。しかも母と娘なんて。

とはいえ、普通の母親ではないレイチェルが相手では、やはり喧嘩になる率は高いです。

レイチェルはシャーロットの父親と愛し合って結婚したのですが、離婚し、その後に結婚することはありませんでした。

結婚こそしなかったものの、ボーイフレンドが途切れたことはありません。

そして、ボーイフレンドとうまくいかなくなれば、当てもなく引っ越しです。

ただ、全然、湿っぽくないのですよね。

お風呂場で鼻唄を歌いながら(この鼻唄で「ああ、また引っ越しだ」とシャーロットは分かるらしいですが)、シャボンに包まれて、当てずっぽうで地図を指さします。

そして、暖かな日差しの中、車に荷物を積み込んで、新天地を目指すのです。

レイチェルとシャーロットは喧嘩もしますが、ケイトも含めて3人は気心知れた一つのチームであることに変わりなく、3人の中で繰り返されてきたであろう言葉遊びとか、見ていて心が暖かくなるのです。

現実の生活ってこんなもんですよね。

腹立たしいことや楽しいことが薄い層となって積み重なり、一日は作られていきます。そして明日になれば、今日あったことは忘れられ、また同じことを繰り返していくのです。

ただ、今日と明日は少しだけ違っていて、私たちはいつの間にか違う場所にいたりします。

マサチューセッツに越してきて、レイチェルが付き合い始めたルーという男性は、これまでレイチェルが付き合ってきた人たちと少し違っていました。

彼はレイチェルと結婚したいと思っていたし、レイチェルの娘たちとも気が合いました。

特に妹のケイトは、「ルーをパパにしてほしいの!」とレイチェルに訴えるほどです。

でもレイチェルはこれが面白くない。

レイチェルは今のままでいいと思っています。親子の関係や、自分自身を誰かに変えられることが嫌で仕方ないのです。

その誰かは、今回の場合はルーなわけですが、ルーはとても優しい人です。レイチェルの心を強引にこじ開けようとすることもないし、子供たちとも自然に馴染んでいきます。

ルーの子供たちに対する態度は、実に好感が持てます。

レイチェルは彼が自分の関心を引くために子供たちへ取り入っていると思うのですが、ルーは子供たちと自然に楽しんでいます。

レイチェルが、子供たちに取り入るなと言ったとき、ルーは本気で怒りました。

これ、ルーにも子供たちにも失礼な言い草ですよね。ルーにまったく下心がなかったかは分かりませんが、彼が子供たちに食卓を囲む楽しさを教えたのは悪いことではないはずです。

それもレイチェルは気にいらなかったわけですが。

大晦日の晩、レイチェルとルーは仮装パーティに出掛け、ルーはプロポーズします。

レイチェルが自由な生き方を変えたくないと思っていることは分かっていました。それでも、ルーはレイチェルが変わってくれると信じていたのかも。

レイチェルが頑固に結婚にも同棲にも「ノー」と答えたとき、ルーはレイチェルと別れる決意をしたように見えました。

ルーはレイチェルを置いて帰ってしまい、レイチェルは自分の車で帰ろうとしますがエンジンがかからず、ちょうど姿の見えたジョーという男性に家まで送ってもらいます。

ルーのことで気持ちが落ち込んでいたのか、レイチェルは玄関先でジョーにキスします。

だがしかし、このジョーという男性、長女シャーロットの想い人だったのですね。

まったく、この母は何をしているのだか……。

しかも、これがきっかけで、とんでもない事態となっていくのですよ。

子供は育児書どおりに育たない(笑)

キリスト降誕

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さて、母の犠牲になっているようなシャーロットですが。

彼女もなかなかに個性的です。

個性では負けない母レイチェルが「あんたたちは育児書どおりに育たないし」と弱音を吐くほどです。

まず、シャーロットは宗教オタクです。マサチューセッツへの引っ越し当時はカトリックにはまっていました。

理由はクラスメイトの女の子が、テスト前に十字を切っているのに感銘を受けたから。

ようは「素敵!」「かわいい!」「なんかカッコ良い!」と思ったのでしょうね。

あるある(笑)

私も小学生の頃、同じような理由で、教会の日曜学校に数回通ったことがあります。数回で終わりましたが。

シャーロットはオタク精神旺盛で、自分の部屋に祭壇を作るし、十字架を胸に掛けるし、尼さんにも憧れていました。

尼さんになりたいと言っていたら、引っ越し先の隣が修道院で、そりゃあ、オタク魂は盛り上がりますよね。

町の靴屋で偶然に修道女に会ったとき、シャーロットは彼女たちに声をかけようとしました。しかし、結局、何も言えませんでした。

だって、声を掛けて訊きたい内容が、「ブラジャーの色は?」「邪念ってないの?」ですよ。

そう、シャーロットは邪念ありまくりなのです。

そして、修道院で、小間使いのような仕事をしていたのがジョーです。

ジョーはまだ26歳でイケメンなのに、世捨て人のような生活をしています。そんな彼に初めて会ったとき、シャーロットは恋してしまったのですね。

でも15歳ですよ。15歳で邪念を持たないで、いつ持つの?ってことです。

なのに修道女を目指すシャーロットは、邪念を払うために絶食してぶっ倒れたり、キスしただけで妊娠したと思い込んで家出したり、もうやりたい放題(笑)

家出から戻ってきても、まだ妊娠の妄想はおさまらず、なんと産婦人科を受診します。

子供ができるような経験もないのにですよ。キスだけでですよ。

受診するときに使った偽名は「ジャンヌ・ダルク」。

どんだけふざけてんだ。

シャーロットは、キスだけでは妊娠しないと分かっているのです。

車の運転をさせてもらっているとき、レイチェルから「あんたの運転は老人のセッ○スみたい」と言われて、しれっと「ママ、15歳の乙女になんてこと言うのよ」と返していますし。

知らずに妊娠したと思うより、知っていて救世主を身ごもったと思うほうがヤバいです。

そんな母譲りにぶっとんだシャーロットなので、大好きなジョーが目の前で母とキスしているのを見て、当然、行動に出ます。

ジョーを母に取られる前に自分のものにしてしまおう!ってわけですね。

結果、妹のケイトを危険な目に合わせてしまい、母と大喧嘩になるシャーロット。

ここで初めて、シャーロットは心の内をぶちまけることができました。ずっと聞きたかった父のことや、この土地で高校を卒業したいこと等々。

レイチェルも、あらためて娘たちを愛していることを思い知り、娘たちのために、初めて自分を曲げる決意をしました。

ケイトは少し障害が残ってしまいましたが、以前の生活と明るさを取り戻し、ルーは正式な父親にはなっていませんが、みんなでルー念願の場所に旅行します。

レイチェルのこれまでからすると、驚くべきことです。

本当は引っ越しもしたいだろうに、シャーロットの希望どおり、マサチューセッツにとどまります。

残念ながらシャーロットの想い人ジョーは去っていきましたが、シャーロットは前向きに生きています。カトリックは卒業し、今度はギリシャ神話に夢中です。

映画の最後はレイチェルとシャーロットとケイトで、踊りながら食卓の準備をするシーンです。

相変わらずレイチェルは料理をしないみたいです。でも以前のように、3人がばらばらの方を向いて食事することはやめたのか、食卓に料理を並べていきます。

水泳オタクのケイトは水着姿のまま踊り、シャーロットとレイチェルのダンスはキレキレで、やっぱりこの3人は一つのチームなんだなぁとほのぼのするのです。

いつか、このチームにルーが正式加入するかもしれませんが、それはまだ先の話なのでしょうね。

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映画情報

製作年/1990年
製作国/アメリカ
監 督/リチャード・ベンジャミン
出 演/シェール/ウィノナ・ライダー/クリスティーナ・リッチ
原 作/パティ・ダン

日本での公開は1991年です。

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