映画『ショーシャンクの空に』あらすじネタバレ感想 希望は光か、それとも毒か?

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希望は危険だ。

そう言ったのは、レッドという年配の囚人でした。

若い頃とは違い、初老にもなると、胸に突き刺さる言葉です。

だったら、人は希望なんて持たないほうがいいのでしょうか?

この映画には、その問いの答えがあるような気がします。

希望は光か、それとも毒か?

ご一緒に考察していただければ幸いです。

ただしネタバレを含みます。お嫌な方は、ここまででお願いします。

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映画『ショーシャンクの空に』あらすじ

1947年、銀行員のアンドリュー(アンディ)・デュフレーンは、妻及び妻の愛人を殺した罪で終身刑の判決を受ける。

アンディが送り込まれたのは、劣悪な環境のショーシャンク刑務所だった。

しかしアンディは誰も殺しておらず、彼の罪は濡れ衣だった。

一方、ショーシャンクには、長年服役しているレッドと呼ばれる囚人がおり、彼は他の囚人たちから調達屋と呼ばれていた。

アンディが最初に話しかけた相手はレッドであり、アンディは鉱石採集を趣味とするため、ロックハンマーを手に入れてほしいと頼んだ。

レッドは武器にもなるハンマーに難色を示すが、アンディには好意を持った。

アンディの刑務所生活は過酷なものだったが、ある出来事をきっかけに、刑務官や刑務所長の脱税・資産運用を引き受けるようになる。

おかげでアンディの刑務所生活は少しだけ穏やかなものとなったが、ある日、トミーという若い囚人が入所してきたことで事態は急変する。

アンディの妻と愛人殺しの真犯人を、トミーは知っていたのだ。

トミーは、アンディとレッドに知っていることを話した。アンディは所長室へ飛んで行き、再審請求を求める。

しかし、激怒した所長から独房へ放り込まれ、刑務官からは暴行され、真実を知るトミーは射殺されてしまう。

さらに、すべてを奪ってやるという所長の脅しから、アンディは希望も意志もなくしたように所長の言いなりとなる。

そしてレッドに不思議な話をする。ある牧草地に行って、そこにある木の根元を探せという。

ただならぬアンディの様子に胸騒ぎを覚え、レッドはアンディが自ら命を絶つのではないかと気が気でない。

アンディの選んだ結末とは。

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映画『ショーシャンクの空に』ネタバレ感想

希望は光か、それとも毒か?

夢のビーチ

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アンディは不運な男です。

それはもう、とてつもなく。

アンディは妻に浮気をされていたうえ、妻を誰かに殺されました。

つまりアンディは被害者なのですが、妻と、その愛人を殺(あや)めた冷酷非常な殺人犯にされてしまいます。

また、劣悪な環境の刑務所では、シスターと呼ばれる連中に狙われ、刑務所に入った当初は生傷が絶えませんでした。

刑務官や刑務所長たちから、利用価値があると思われるようになってからは、多少待遇がよくなりましたが、囚人であることに変わりはありません。

なにかあれば、すぐに暴力を振るわれ、そして懲罰房(ちょうばつぼう)行きです。

すごいのは、そんな目にあっても、アンディは希望を失わなかったということです。

銀行の副頭取を務めていたという勝ち組が、やってもいない罪のため、社会の底辺へ突き落とされ終身刑ですよ。

いったいどこに希望なんてあるのでしょう。

でも、アンディは言います。

「人には心がある。心の中には何かがある」

それを聞いたレッドが、怒ったように、それはなんだと訊きます。

アンディは「希望だ」と答えます。

静かな怒りを滲ませながら、レッドはアンディに忠告します。

「希望は危険だ。人から正気を失わせる。塀の中では禁物だ」と。

なんともハッとさせられる言葉ですね。

この言葉で、私も、希望は人を腐らせる毒でもあるな~と思いました。

残念ながら、希望は誰もが、かなえられるものじゃないですよね。それに気付いたとき、人は諦めを受け入れます。

でも、中にはアンディのように、絶対に希望を捨てない人もいる。

そんな人は、希望がかなわないと悟ったとき、どうするのでしょう。

後日アンディは、無罪を証明するチャンスを、それはひどい方法で刑務所長から奪われました。

真犯人を知るトミーを殺されたうえ、シスターたちにおまえを襲わせる、おまえが長い年月をかけて作り上げた図書室も閉鎖する、本も焼き尽くすと脅され、トイレとしか思えない狭さの懲罰房に2ヶ月間も閉じ込められます。

その間に、ひどく暴行も受けた様子です。

ようやく懲罰房から出られたアンディは、ひどく打ちのめされていました。

それでも、アンディはレッドに夢を語りました。

刑務所を出たらジワタネホというメキシコの町に行くこと。そこでホテルを営業すること。ホテルには調達屋が必要だから、仮釈放になったらレッドにも来てほしい。そう言いました。

レッドはまた怒ります。夢なんて捨てろと。

アンディはひどく思い詰めた様子で、レッドが仮釈放になったら行くべき場所の話をします。

尋常ではないアンディの様子に、レッドは、アンディが自ら命を絶ってしまうのではないかと心配します。

レッドがひどく心配した夜、アンディは脱獄します。脱獄はみごとに成功します。

レッドが言ったことは、決して間違いではないと思います。

希望や夢は、毒になることもある。

希望が毒になったとき、人は絶望して、自ら命を絶つこともあります。

レッドたちの囚人仲間であるブルックスという老人は、まさにレッドが危惧した通りの結末を迎えました。

レッド自身、自分がブルックスと同じ道をたどるのではないかという不安があった。

でも、アンディは、希望は希望のままで、夢は夢のままで、それを手に入れることだけに必死になった。

彼の言葉で言うなら、必死に生きた。

希望を毒になどしない。アンディはそんな強い意志の持ち主だったのです。

それでも人は希望を求める

アンディが脱獄をやり遂げた後で、レッドたちがアンディの武勇伝を語るシーンがあります。

アンディはかつて、刑務官から、仲間にビールを奢らせたことがあって、みんなは楽しそうに、その日のことを語っています。

たぶん、何度も繰り返し話しているし、これからも話し続けていくのだろうなと想像できます。

これは希望と呼ぶにはささやか過ぎるかもしれませんが、アンディの武勇伝が、かつての仲間たちの胸を温かくしていることは確かです。

レッドはアンディに、希望なんて捨てろと言いました。

確かに、心をなくして生きるほうが、たやすいこともあります。

でも、人は無意識にも希望を探しているのでないですかね?

そうじゃないと、生きる意欲というものがわきません。

たとえ、まったくお金がなくても、学がなくても、希望だけは持つことができる。

希望を光に変えるか、毒にするのかは、自分次第。

現実は厳しいですけどね。

名言いっぱい、考えさせられることもいっぱいの、良い映画でした。

映画情報

製作年/1994年
製作国/アメリカ
監 督/フランク・ダラボン
出 演/ティム・ロビンス モーガン・フリーマン

日本での初公開年は1995年です。

原作はスティーブン・キングの小説、『刑務所のリタ・ヘイワース』。
なにが恐ろしいって、私はこの小説が大好きだったのに、小説の内容がもうほとんど記憶にないことです。

アンディのセリフで「不運がこれほど恐ろしいとは」というものがあります。

でも私は言いたい。
「寄る年波がこんなに恐ろしいとは……」

人は年とともに、大好きだったものさえ忘れていくのですね~(泣)

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