映画『トイレット』 家族とは? オタクだって引きこもりだって、元気ならそれでいい

足踏みミシン シネマ手帖・邦画
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『トイレット』という映画を初めて知りました。

監督が『かもめ食堂』の荻上直子(おぎがみなおこ)さんということで、見てみました。

実は荻上さんの映画を見たことがありません。

でも群ようこさんの小説『かもめ食堂』を映画化するあたり、私的に当たりっぽいぞと思ったのです。

その予感は大正解でした。

大変よい映画でした。

というわけで、初老女子による『トイレット』の感想をお送りします。

映画『トイレット』が気になっていたという方、ぜひ最後までお付き合いください。

お付き合いいただきますと、家族って、そんなんでいいんだよねと納得できるかもしれません。

ただしネタバレありです! お嫌な方はここまででお願いします。

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『トイレット』あらすじ

アメリカのある町で、一人の日本人女性が埋葬されようとしていた。

亡くなったのは母、残されたのは兄・弟・妹の三兄弟、猫一匹、そして「ばーちゃん」。

母は亡くなる直前、日本から自分の母を呼び寄せていた。

英語の話せない祖母と、日本語の話せない孫3人。

兄モーリーは引きこもり、弟レイはオタク、妹リサは生意気盛りの大学生。距離があることで均衡を保っていた家族が、母の死により、ぶつかり、融和していく。

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『トイレット』ネタバレ感想

家族とは? おたくだって引きこもりだって、元気ならそれでいい

眠り猫

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映画『トイレット』で、一家の母である女性はほぼ出てきません。

映画の冒頭で彼女はすでに亡くなっています。

ですが、母である彼女が、一家の要だったことは分かります。

母が亡くなったことで、兄弟はちょっとパニック気味です。

母の葬儀から数日後、次男レイの職場に、妹リサから実家に来るよう電話が掛かってきます。

行ってみると長男のモーリーは泣いているし、妹のリサは頭に血を上らせて、レイに家に戻ってこいと詰め寄ります。

もちろん、こんな面倒くさい家に戻りたくないレイですが、絶妙のタイミングで一人暮らしをしていたアパートが火事になり、実家に戻るしかなくなりました。

4年間、家に引きこもったままのモーリーは子供みたいで、仕事中のレイに、どうでもいいことで電話をかけ、レイから超絶嫌味な返しをされても全然気がつきません。

正直、モーリーって憎めないヤツなのです。

電話の内容は、母親の使っていたミシンを見つけ、それを形見にもらいたいということでした。

モーリーはなんの疑問もなく、レイも欲しがると思っている。

仕事中のレイの返事は氷点下まで冷めているのに、それにも気がつかない。

レイの返事の仕方、私的にはとてもツボで笑ってしまいました。

もう二人とも、本当にかわいい。

妹リサも、家では兄たちに憎まれ口を叩いたりしていますが、でも、この3兄弟、ちゃんとお互いを思いやっています。

モーリーは実はピアニストで、引きこもった原因は、たぶん4年前のコンテストです。そこで失敗しちゃったんですね。

でも、ある朝、兄弟たちの家に、ピアノの音色が響き渡ります。

モーリーが気持ち良さそうにピアノを弾いていたんです。

その姿を呆然と見ているリサとレイ。演奏が終わって、リサが最初に尋ねたのはモーリーの体調でした。

なんだか愛を感じるなあ。

そして次には、レイがモーリーのスカートについて尋ねました。

そこは演奏を誉めてあげて(笑)

モーリー、母親の形見のミシンで、自分用のロングスカートを縫っていました。

後日、モーリーはコンテストに再挑戦しますが、そこでも自作のスカートをはいていました。次はドレスにしてほしい。

こういうのなんていうのかな。女装? 異性装?

リサとレイは、コンテスト前に、モーリーのスカートについて何か言ったのでしょうか?

コンテスト前のシーンは出てきませんでしたが、一言くらい言ったかもしれませんね。

でもモーリーは、スカートをはいたままステージに出てきたので、二人は許容したんだと思われます。

なんというか、引きこもりでも、変わった趣味でも、オタクでも、元気でお互いを思いやれるなら、家族って、なんとかやっていけるものじゃないのかな~と思えました。

家族の中に文化の壁 その象徴がトイレだった

もたいまさこさん扮する「ばーちゃん」。

もたいさんの存在感、素晴らしかったです。そして彼女の立ち居振る舞いに、歌舞伎を見るような様式美を感じたと言ったら言い過ぎか(汗)

それはさておき、ばあちゃんは、毎朝トイレにこもったあと、深い深いため息をつくのです。

私は正直、本当に深刻な問題があるのだと思っていました。

次男レイもそう思って、ばあちゃんのため息を気にかけていたのですが。

なんてことはない、ウォシュレットが欲しいという、ばあちゃんの下事情でした。

なによ~! ばあちゃん、〇なの!? と思ってしまいましたが、本人にとっては大変な問題ですよね。

しかも異国の地。同じ家に暮らす孫たちでさえ、言葉が一言も通じない。

でもレイが気付いてくれてよかった。

これ、日本が舞台で、孫がみんな日本語ネイティブたったら、どうなっていたのでしょうね。

みんなが日本語を話せるなら、家の中に文化の壁はほぼなくなるかと思われます。

ですが、祖母という存在を、若い男性である孫が、どこまで気にかけてくれたでしょうか。

ああ、でもこれは、その家族の関係性によって変わるとしか言えませんね。

荻上監督による、日本でのアナザーストーリーも、ぜひ見てみたいです。

あ、そのときの「ばーちゃん」も、ぜひ、もたいまさこさんでお願いします。

映画情報

製作年/2010年
製作国/日本・カナダ
監 督/荻上直子
出 演/もたいまさこ

この映画のカテゴリーは『日本映画』ですが、出演者で日本人はもたいまさこさんのみ。
役者さんのセリフから、舞台設定はアメリカと思われますが、ロケ地はカナダです。
いろんな要素が合わさって、不思議な雰囲気の映画です。

この映画で、あらためて、もたいさん、素敵な役者さんだなと思いました。

実は私、この『トイレット』のラストは、エアギターコンテストにばあちゃんが乱入し、エアギターを弾きまくって終わるのかなと期待していたのです。

次こそは、もたいさんのエアギターをお待ちしております。

 

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