公開から30年経った映画です。
正しい人はあまり出てきません。
ハッピーエンドでもありません。
でも、不思議と、スカッとすること間違いなしの映画です。
というわけで、この映画を見た方と感想を語り合えたら嬉しいです。
この映画を全然知らなかったという方も、よろしかったら、お付き合いください。
ただしネタバレ・あらすじを含みます。
お嫌な方は、ここまででお願い致しますm(._.)m
『テルマ&ルイーズ』ネタバレ感想
記憶がおぼろになっている方&見ていない方のために、簡単なあらすじを。
日常からはじき出されたテルマは
『テルマとルイーズ』という題名からして、二人の女性が主人公なのは一目瞭然ですよね。
で、主人公の一人、ルイーズ。
映画の始まりの頃は、ルイーズのほうが破天荒な印象でした。
でも、いい感じ。たぶん、女性の大半はルイーズに好感を持つと思うのです。
では、ひるがえって、テルマは?
かわいい女性なのは確かです。
18歳で結婚して、外で働いた経験が(たぶん)なくて、友達と旅行に行くのも今回が始めてという箱入り主婦。
友達との旅行にテンションが上がりすぎて、声を掛けてきた男とイチャイチャしたあげく、乱暴されそうになってしまう。
そのせいで、ルイーズが殺人犯となってしまったという流れ。
ここまででも、テルマにイライラした人、いるのではないでしょうか?
私は、この後、逃走費用となる所持金を数えているとき、お札を一枚飛ばしてしまうテルマに、非常にイラッときました(笑)
その後も、テルマはルイーズの足をひっぱりまくります。
ルイーズが調達したお金を、またもテルマのせいでなくしてしまい、さすがのルイーズも落ち込みます。というか絶望します。
その姿を見て、テルマもようやく、事の深刻さに気付くのです。
おっそ!と思いますが、それがテルマなんですよね……
で、ここでですよ。普通なら、もう諦めそうなものですが、テルマはなんとコンビニ(?)強盗をしてしまう。
強盗をして、金を手にして、震えているかというと、テルマは私天才!と大興奮。
なんというか、罪悪感のカケラもない。
その後も、お巡りさんに銃を突き付け、お巡りさんをパトカーのトランクに閉じ込めてしまいます。
閉じ込める際、トランクのふたを銃で撃って、空気穴を用意する周到ぶり。
ルイーズが、あんた頭いいわねと、複雑な顔で言っていました。
昔、ナチュラル・ボーン・キラーズという映画がありましたけど、テルマも、もしかすると、そっち系の人なのかもしれません。
本来テルマは、罪悪感を持つことなく、犯罪を犯せる人なのかもしれない。
平凡な家庭の、平凡だけど優しい両親に育てられ、これも本来の性質である素直さから、異常な部分が抑えられていただけなのかもしれない。
もう少し後になって、テルマは運転中のルイーズに、
「起きてる?」
って、訊くんですよね。
運転しているルイーズは、もちろん寝ているわけがない。
なので「起きてる」と答えるのですが、テルマは、
「あたしも目覚めた気分。不思議ね。こんなに目覚めている気分は始めて。すべてが新しいの。未来に希望があふれてるって感じ」
と、言うのです。
ああ、やっぱりって感じですよ。
テルマの本質であるモンスターが目覚めちゃったんですね。本人に自覚もある。
でも、破滅に向かっているのに、未来に希望を持ってしまったことが、ひたすら悲しい。
テルマとルイーズを追いかけている刑事ハルは、二人について、こう言います。
「今がうまくいっていようと関係ない。必ず限界は来る」
結局、ド素人の二人が逃げ延びるのは無理なんです。
いくらお気楽・極楽なテルマだって、それは分かっていたのではないでしょうか?
でも、テルマの心は目覚めてしまって、新しい未来に希望を感じずにはいられない。
最後、崖から車ごとダイブするシーンは、ひたすらに悲しいのに、なぜか明るい。
それはテルマの、目覚めてしまった喜びを、私も感じるからなのかもしれないなぁ…と思うのです。
モンスターはテルマか男たちか

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この映画に出てくる男たちは、みんな、どこか滑稽です。
テルマの夫はモラハラ野郎で、テルマにも人権とか感情があることをすっかり忘れています。
威圧的で嫌な男なんだけど、どこか、滑稽。
ルイーズの恋人であるジミーは、何もしゃべらないと約束したのに、警察が来るとペラペラとルイーズのことを話してしまって、なんとも滑稽。
テルマと行きずりの関係になったJ.D.という男は、最初から滑稽。かっこいいけど。
テルマとルイーズを追いかける刑事たちも、ちょっと可愛いけど滑稽。
なんでそう感じるのでしょうね? スコット監督の作戦?
でも、この滑稽で、可愛かったり、笑ってしまうような男たちが、テルマとルイーズを追い詰めていくのです。
先に、私はテルマがモンスターだと書きましたけど、だとしたら、テルマを追い詰める男たちは、いったいなんだというのでしょうね?
本当に怖いのは、テルマと男たちと、どっちなんだろう。
強盗が成功したことに大喜びをしていたテルマは異常かもしれません。
でも、常識の側にいて、女を追い詰めていく男たちのほうが、実は本当に怖い存在なのかもしれないな~と思うのです。
映画情報
製作国/アメリカ
監 督/リドリー・スコット
出 演/スーザン・サランドン/ジーナ・デイヴィス
日本での初公開年も1991年です。
リドリー・スコットといえば、『エイリアン』や『ブレードランナー』が有名ですね。
この監督の映画としては異色とみられた『テルマ&ルイーズ』ですが、そのせいもあるのか、公開当時、批評家から大変評判が悪かったのですよ。
でも、観客の反応はまったく逆でした。
批評家と観客の感想は別物だと知った、初めての映画でした。
私としては、「今見てもメチャクチャ面白いよ~」と、おすすめできる映画です。
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