さすがロバート・ゼメキス監督と思える映画です。
一冊の絵本が元になった映画ですが、絵本のページ数って短編小説にも及ばないですよね?
それを1時間半以上の映画に仕上げるなんて、「すごい!」の一言です。
というわけで、この映画の感想を語ってみたいと思います。
「クリスマスには欠かせない映画よね~」という方も、「アニメだし、なんとなく見てなかったわ~」という方も、よろしかったらお付き合いください。
ただしネタバレ・あらすじを含みます。
お嫌な方はここまででお願いいたしますm(_._)m
『ポーラー・エクスプレス』ネタバレ感想
記憶がおぼろになっている方&見ていない方のために、簡単なあらすじを。
一冊の絵本を一本の映画にする力技! さすがゼメキス!
この映画のメッセージは実にシンプルです。
サンタは信じる者の心にいる。
これだけ。
映画の元になっているのは『急行「北極号」』という絵本です。
私はその絵本を読んでいないのですが、ページ数はたぶん数ページ、もしくは十数ページじゃなかろうかと思います。
それならシンプルなテーマでもおかしくありませんね。
でも、ゼメキス監督は、それを一本の映画に仕立て上げました。
すごい力技だと思います。
普通ならそのメッセージにたどり着く前に飽きてしまいそうですが、次々に展開していくお話に飽きる暇がありません。
まず、家の前にでっかい機関車がやってくるとか、わくわくします。
かなりの振動に少年はびっくりして家から飛び出しますが、少年以外、近隣の家からも飛び出してきた人はいません。
不思議な機関車には素敵な車掌さんがいて、機関車はポーラー・エクスプレスで、北極点行きだと教えてくれます。
一度は後ずさりをしてしまった少年ですが、彼は走り出したポーラー・エクスプレスに飛び乗ります。
灯のない住宅街に、車窓の光が列になって通り過ぎていきます。
車内には少年と同じ年頃の子供たちが乗っています。みんなパジャマ姿です。
ああ、わくわくする(笑)
予想通り、ポーラー・エクスプレスと少年は様々な困難を乗りこえ、無事北極点に到着します。
時間通りに到着したことで、車掌さんも感極まります。
ただ、北極点まで来た少年ですが、彼にはサンタの橇についた鈴の音が聞こえませんでした。
少年はサンタを信じることにします。
すると鈴は綺麗な音を響かせ、少年にはその音がちゃんと聞こえるようになるのです。
これがこの映画のクライマックスだと思うのですが、私にとって、この映画のクライマックスは子供たちが家に帰るシーンでした。
そのへんも監督の計算なのかな~とは思うのですが、この帰っていくシーンが私は好きです。
北極点でプレゼントをもらえたのは主人公の少年だけですが、実はみんな、プレゼントをもらっているのですよ。
自分にとって大切なものを知ることや自分の資質を知ることは、素晴らしいプレゼントではないでしょうか?
子供たちは素敵なプレゼントを胸に、それぞれの家へと帰っていく。
サンタの存在を胸に刻んだ旅は、少し大人になる旅でもあった。
ちょっと皮肉にも感じるのは、私がひねた大人だからでしょうかね?
サンタを生涯信じることになった旅で子供時代が終わるって、皮肉じゃないですか?
とはいえ、やはり私にとって、この映画の醍醐味は旅の終わりにあるのです。
クリスマスと幽霊…ってよくある組み合わせ?
この映画を見ていて謎だったのは、機関車の上に住む(?)男の存在です。
この男、どうやら幽霊のようです。
クリスマスと幽霊…というと、あれを思い出しませんか?
そう、『クリスマス・キャロル』。
子供の頃、題名の可愛らしい響きにつられて読んで、たいそう後悔した記憶があります。
クリスマスと幽霊って、なにか関係あるのでしょうか?
そのへんよく分かりませんし、ポーラー・エクスプレスの幽霊の意味もまったく分かりません。
この幽霊、主人公の少年をちょっと脅してみたり、からかってみたりしますが、基本少年を助けてくれます。
どうやら車掌さんも過去に助けてもらったことがあるらしく、この幽霊はずっとポーラー・エクスプレスに乗っているみたいですね。
しかし屋根の上で、無賃乗車の幽霊です。
幽霊ならどこにでも入り込めそうなのに、なんで屋根の上なのでしょうね?
ちょっと笑ってしまうような、深く考えると切ないような、複雑な気持ちになります。
幽霊は大人の男性ですが、どんな子供時代だったのでしょう?
クリスマスにプレゼントをもらえたことはあったのかな?
生前、彼は貧しく、楽しいクリマスの記憶がなかったのかもしれない。
それとも、子供の頃、ポーラー・エクスプレスに乗るチャンスを逃してしまったとか?
そんなことを考えていると、ちょっと泣きそうになります。
でも、彼は「俺はポーラー・エクスプレスの王様だ!」なんて言っていますし、実際ポーラー・エクスプレスの主のような存在だし、それはそれでいいのかな?
最後、主人公の少年に手を振る幽霊は風にかき消されますが、きっとまた次のクリスマスには、汽車に乗り込んだ子供たちを助けたり、からかったりするのでしょうね。
幽霊がいる謎はまったく解明されませんが、それにこだわることなく、彼の存在を楽しめばいいのかなと思います。
映画情報
製作国/アメリカ
監 督/ロバート・ゼメキス
出 演/トム・ハンクス
日本での公開年も2004年です。
トム・ハンクス氏が4役もやっているそうですが、私は吹替え版を見たので、ハンクス氏に対する感想はないのです……。
単なる思い込みかもしれませんが、映画の最中に流れる曲が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ぽいと感じてしまいました。
マイケル・J・フォックス、好きだったな~。
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