ウーピー・ゴールドバーグ姐さんによる、歌あり笑いありスリルありの痛快コメディ映画です。
30年以上前の映画で、もう何回も見ているのに、何回見ても「面白い~」と感じます。
というわけで、映画『天使にラブ・ソングを…』の感想を語ってみたいと思います。
「ウーピー姐さん、大好きなのよ~」という方も、「この映画でゴスペルって知ったわ~」という方も、よろしかったらお付き合いください。
ただしネタバレ・あらすじを含みます。
お嫌な方はここまででお願い致しますm(_._)m
『天使にラブ・ソングを…』ネタバレ感想
記憶がおぼろになっている方&見ていない方のために簡単なあらすじを。
ウーピー姐さんが弱小合唱部を優勝させる痛快!部活コメディ映画
上のあらすじを読んでいただくと、「合唱部?」「優勝?」と疑問に思われるかもしれません。
だって、「マフィアのボス」だの、「裏切り者を消す」だの書いていますもんね。
それがなぜに、「合唱部」で「優勝」なのか。
まず「合唱部」とは、ウーピー姐さん演じるデロリスが匿われた修道院の、シスター達で構成されたポンコツ聖歌隊のことでございます。
「優勝」とは、そのポンコツ聖歌隊が、ついには法王様の前で歌えるまでになったってことです。
こんな流れのストーリーを、私たちはよく知っていますよね?
例えば、場所は中学や高校で、予算もなくて道具や楽器がろくに買えない弱小クラブに、ある日、転校生(あるいは新入生)がやってきて、強豪チームに変えてしまうというストーリー。
定番とか王道とかマンネリとか、言い方はいろいろありますが、私はこんな話が大好きですし、何度も使われるストーリーだということは、私のように感じる人が多いのだと思います。
その定番ストーリーが、修道院の聖歌隊で繰り広げられるのです。
転校生(のポジション)であるデロリスは、カジノやクラブが身の回りにある生活をしていたため、カトリック系の修道院なんて、もちろん入りたくありません。
片や、デロリスの事情を知る修道院の院長も、最初はデロリスを拒否していました。
しかし修道院は存続の危機にあって、デロリスを匿えば警察からの寄付があると知り、背に腹は代えられないとデロリスを預かることにしたのです。
ですが、当然デロリスは大人しくなどしていませんから、怒った院長は有無を言わさず、デロリスを聖歌隊に叩き込むのでした。
この聖歌隊、デロリスが「“あの”聖歌隊!?」と言うほどひどいポンコツで、演技とはいえ、よくぞこんなに上手く(?)ヘタクソに歌えるなと思います。
そして、聖歌隊で、「ただ歌え」とだけ言われたデロリスが、成り行きで指揮者になってしまいます。
そこから聖歌隊の快進撃が始まるのです。
自分たちでも「ひどい…」と卑下していた聖歌隊が、法王の前で歌うときには自信に満ちていて、見ているこちらも胸熱でした。
ですが私は、デロリスが、ミサで初めて指揮をしたときの歌が一番好きです。
ミサに参加している信者さんやシスターたちは、誰も期待なんてしていません。そんな中、聖歌隊のメンバーは緊張しながらも歌い出すのですが、それはそれは透明感溢れる、美しい歌声が響くのです。なんと、ちゃんとハモっています。
聖歌隊は最後まで音を外すことなく、繊細な歌声で賛美歌を歌い切ります。
驚いていた院長も、満足そうな表情で優しくほほ笑みます。
だがしかし、そこから、デロリスたちのはっちゃけが始まるのです。
先ほど、天使の歌声で歌いきった曲を、今度はゴスペル調で歌い出します。
手拍子つきで歌うシスターたちが、「いいの? いいの? 本当にいいの?」という表情を見せたり、自信がなくて、誰よりも声の小さかった見習いシスターのメアリー・ロバートが自分の実力に目覚めていく過程が見えたり、デロリスが踊りながら指揮しちゃったりと、本当にワクワクするのです。
歌が終わり、拍手が響くと、驚くやら嬉しいやらの聖歌隊メンバーと、やはり嬉しさを隠しきれないデロリス。
この高揚感、お分かりいただけるでしょうか?
周囲の人たちが1ミリも期待していないと分かっている中、自分たちの能力を知り、練習の成果を存分に出せて、素直な称賛の拍手をもらったときの喜び!
私にとって、この映画のハイライトは間違いなくこの瞬間で、弱小合唱部が覚醒した素晴らしいシーンなのでした。
クラブ歌手でも修道女でも
この映画の部活的ワクワク感は他にもありまして、デロリスのクリエイティブさを発揮するところがそれです。
映画の冒頭は、クラブで歌うシーンなのですが、デロリスと一緒に2人の女性が歌っています。シュープリームスみたいです。
この3人が歌うシーン、私は素敵だと思うのですが、彼女たちの観客はほとんどが興味なさそうにしています。
当然ステージからもそれは丸見えで、歌いながらもデロリスはプリプリしてしまいます。
それを宥めたりスカしたりする2人との、視線をやり取りする様も面白いです。
で、このとき、3人が歌っている曲の選択や振り付けをデロリスが担当しています。
好きなのですね。彼女は歌が。あるいはステージが。
で、初めて見る方は、ここのシーンをよく覚えておいていただきたい。
デロリスは、カジノのクラブで歌っていた曲を、教会の聖歌隊でもアレンジして歌わせます。
クラブで歌った「My Guy」を、教会では「My God」にして、相手がシスターたちでも容赦せずに可愛く歌わせるのですよ。
ちょっと話は逸れますが、このシスターたちの平均年齢はかなり高めです。補聴器をされている方もいます。
ですが、歌っている彼女たちは可愛いのです。屈託なく見えるせいでしょうか。デロリスの指導の賜物(たまもの)でしょうか。
ついでに彼女たちの可愛さをもう一つ言わせていただくと、デロリスがヴィンスたちに見つかり、連れ去られた後、デロリスを助けるためリノまでやってきたシスターたちがわちゃわちゃと駆け回るシーンも可愛かった~。
漫画で、普段は八頭身の登場人物が、急に二頭身になることがあるじゃないですか。
シスターたちは実写なので急に二頭身にはなりませんが、彼女たちがわちゃわちゃしているシーンは、そんな二頭身を見て感じる胸キュンがあるのです。
で、デロリスの話に戻りますが、彼女はどこにいても音楽を楽しんでいます。
自分で楽しみ、仲間にも観客にも楽しませる。
これも、ちょっと部活的雰囲気を感じさせる要因だと思います。
好きなことを、ただただ楽しんでやるなんて、社会人となってはなかなか難しいです。好きなことを仕事に選んでいたとしても、仕事となると、楽しむことは二の次三の次になっていきますもんね。
ただ、このお楽しみには終わりがあって、先にも書きましたが、修道院に潜伏していることがヴィンスたちにバレたことで、デロリスのシスター生活も終わりを告げます。
その後、悪は滅び、デロリスと院長はお互いに「ありがとう」を言い合い、部活映画に相応しい友情関係もでき上がります。
フィナーレは華々しく法王様の御前です。そしてデロリスは元の生活へと戻っていくのでした。
と思ったら、エンドロールで、デロリスやシスターたちが雑誌や新聞に取り上げられている様子が分かり、「あら、“時の人”になっちゃった?」と思っていたら、どうやらデロリスはレコードも出せたみたいで、彼女の人生は一変したようです。
最後はシンデレラ・ストーリーで終わるのか~。楽しかった~。と思える部活映画なのでした。
映画情報
製作国/アメリカ
監 督/エミール・アルドリーノ
出 演/ウーピー・ゴールドバーグ
日本での公開は1993年です。
デロリスの愛人で、マフィアのボス・ヴィンスを演じるのはハーヴェイ・カイテル。
悪役とか変わった人の役とかが、なんとも似合う役者さんです。好き~。
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