映画『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』ネタバレ感想 ベター・ハーフなんて必要ない

素敵な厚化粧 シネマ手帖・洋画
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異色のドラァグクイーン映画です。

一人の男性が、どう生きていくかを見つけた映画かな。

そして歌が素晴らしい。

とくにラストの、トミーが歌う「ウィキッド・リトル・タウン」から、ヘドウィグの「ミッドナイト・レディオ」への流れが鳥肌立ちます。

かつてこの映画を見た方と感想など語り合えたら嬉しいです。

まだ見ていないという方も、よかったらお付き合いください。

ただし、ネタバレ・あらすじを含みます。お嫌な方は、ここまででお願い致しますm(._.)m

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『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』ネタバレ感想

もう忘れちゃったかもという方&まだ見ていない方のために、簡単なあらすじを。

東ドイツに暮らすハンセルは、ある日アメリカ軍人のルーサーと出会う。ハンセルはルーサーと結婚して国を出るため、性転換手術を受ける。手術は失敗してしまうが、ハンセルはヘドウィグと名乗り、アメリカに渡る。しかし夫は若い男に乗り換え、家を出て行ってしまった。途方にくれるも、夢だったロック歌手を目指し、バンド“アングリーインチ”を結成。アルバイト先で17歳のトミーと出会い、一緒に曲作りを始める。最初こそ幸せだったが、トミーはヘドウィグを捨て、さらには、共同で作った曲を自分の曲として発表。スターへと上り詰める。

誰が誰のベター・ハーフ?

ヘドウィグは自分の片割れを探しています。

片割れとは、神様に引き裂かれた、もう一人の自分です。

人はもともと頭が二つ、手と足が2組あって、神様に引き裂かれたのだそうです。

だから、私たちは自分の片割れを探すし、探し出したもう一人の自分は、「運命の人」だったり、「ベター・ハーフ」だったりします。

でもトミーは、ヘドウィグのベター・ハーフじゃない。私の感想ですが。

ヘドウィグがトミーにのめり込んだのは確かですし、好きだったのも本当。

トミーだって、ヘドウィグに出会った頃は、めちゃくちゃ恋する少年の顔をしていました。

ヘドウィグが「ウィキッド・リトル・タウン」を歌っているとき、歌い終わってタオルを投げたときの、ヘドウィグを見るトミーの顔。

あんな顔で見られたら、ヘドウィグでなくても、恋しちゃいますって。

さらに、ヘドウィグは、ロックの知識のないトミーにロック講座を開き、二人で曲を作ります。

つまり、愛とか恋とかだけでなく、別の大切な部分も共有したわけで、特別感ありありですよね。

でもね、結局、トミーはヘドウィグを受け入れらなかった。

トミーってキリスト・フリークなんですよね。ヘドウィグを好きになったのは、頭で考えるより先だったのでしょうが、いざとなると、刷り込まれた常識が発動されるというか。

それは仕方ないとしても、もっと穏便に別れることはできなかったのかな?

なぜ、二人で作った曲を自分のものとしちゃったのか、それだけは分からない。

若さゆえ? 若さゆえの残酷さ?

おかげでヘドウィグは復讐の鬼と化しました。

トミーのツアーに付きまとい、彼のツアー会場のすぐ側で、ヘドウィグたちもライブをして回ります。

でも売れまくっているトミーに勝てるわけもなく、ヘドウィグは一文なしとなって街角で客を引くことに……。

なのに、リムジンに乗ったトミーが接触してくるのですよ。

なんなのでしょうね。ほんと、若さって……どうしようもない。

でも、ヘドウィグには、それが幸いして、彼女は一躍「時の人」となる。

そして、完全なるトミーとの別れ。

これはヘドウィグの想像のシーンだと思うのですが、トミーが「ウィキッド・リトル・タウン」を歌います。

でもね、「僕の声を追いかけてみないか」というところで、歌うのをやめてしまう。そして口元が、小さく「Bye」と動くのです。

振られたのはヘドウィグです。でも、この、「さよなら」を呟いたトミーの痛みが、私にまで伝わってくるのです。

トミーは本当に残酷なことを、ヘドウィグにしました。

ちょっとくらい仕返しされたって、文句なんか言えません。

でもね、トミーもまた、深く傷つきました。

ベター・ハーフを失ったのは、ヘドウィグではなく、トミーだったのかもしれないなぁ、なんて思うのです。

ベター・ハーフなんて必要ない

私たちは一人

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しかし結局のところ、自分の片割れなんて存在しないのです。

恋をしようが結婚しようが、それは一人の人間が、もう一人の人間に向き合っているということ。

当然といえば当然ですけどね。

ヘドウィグもそれを受け入れるしかなかった。

彼女の腰の入れ墨が、ラストでは半分に割れた人間じゃなくなっています。

でも、ヘドウィグは、本当にそれでやっていけるのかな?

夢を見ているほうが幸せってことはあります。

最後の「ミッドナイト・レディオ」は、本当に素晴らしかった。

一人で戦ってきた女性たちを褒めたたえ、自分の目の前にいるみんなも、ヘドウィグ自身も輝く星なのだと歌います。

ヘドウィグはきっと大丈夫、だと信じたい。

イツハクの存在とは?

7色の私たち

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ここまで、ヘドウィグとトミーの話をしてきましたが、ヘドウィグの現在の夫、イツハクの存在って不思議じゃないですか?

私は不思議でした。

ヘドウィグがトミーのストーカーとなり、トミーに執着の炎を燃やしている間、同じバンドのメンバーとして、いつも一緒にいたイツハク。

ヘドウィグとイツハクは恋人(後に夫婦と判明)のようだし、よく我慢しているなと思っていました。

でも、イツハクからヘドウィグに対する愛情はあまり感じられなくて、彼がヘドウィグのウイッグをかぶろうとするところを見ると、女になりたいのに、そんな自分が認められず、ヘドウィグを通して自己実現しようとしてる人なのかな~、とも。

でも、これ、本来はちゃんと説明があったのです。

カットされた部分に、イツハクもドラァグクイーンだったこと、歌を歌っていたこと、イツハクの才能に嫉妬したヘドウィグが、女装封印を条件に結婚したこと。なぜ結婚かというと、アメリカでの永住権が目的だったとか。

なるほど~。そんな事情があったとは~。

カット版では、そんな具体的なことは分かりませんが、イツハクの苛立ちや、ヘドウィグへの複雑な思いは伝わってきたので、まあいいのかな。

「ミッドナイド・レディオ」でイツハクは、美しい女性になっていましたね。

彼が解放されてよかった。

ヘドウィグも、もしかすると、ハンセルに戻るのかなと思ったのですが、どうなのでしょうね。

ヘドウィグ?ハンセル?も、パーッと解放されたらいいのですが。そうなることを願っています。

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映画情報

製作年/2001年
製作国/アメリカ
監 督/ジョン・キャメロン・ミッチェル
出 演/ジョン・キャメロン・ミッチェル/マイケル・ピット

日本での初公開年は2002年です。

またまたイツハクのお話で恐縮ですが、彼はミリアム・ショアという女優さんが演じています。

見ている最中、ぜんっぜん、女性だと気づきませんでした(汗)

たまに声変わりしない男性がいるし、そんな感じの人かと。

イツハクが黒いカツラをかぶっているシーンなんて、男性が女装しているようにしか見えなかったし。

ミリアム・ショア、恐るべし……!

 

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