映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』ネタバレ感想 人間はゾンビと共存できる!…のか?

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イギリスが舞台の笑えるゾンビ映画です。

同じ島国だからでしょうか、イリギス映画って親近感があります。

さらには主演のサイモン・ペッグ氏とニック・フロスト氏、このお二人が演じる役柄にも親しみを感じるのです。

というわけで、映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』の感想を語ってみたいと思います。

ただしネタバレ・あらすじを含みます

お嫌な方はここまででお願い致しますm(_._)m

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『ショーン・オブ・ザ・デッド』ネタバレ感想

記憶がおぼろになっている方&見ていない方のために簡単なあらすじを。

ショーンは冴えない29歳の販売員。そんなショーンにも恋人がいるが、幼馴染みであり親友であり居候であるエドのせいで振られてしまう。悲しみに暮れたショーンはエドと飲み明かし、朝を迎える。失恋の翌朝は、二日酔いというだけでなく、町にゾンビがあふれている朝だった。

人間はゾンビと共存できる!…のか?

こちらの映画は20年前の製作なのですが、20年前って、すでに21世紀なのですよ。

初老あるあるの恐怖ですね~。

という初老の感想は置いておいて、21世紀にもなると、ゾンビ映画もただ怖ければいいというものではありません。

山ほどのゾンビ映画がございますからね。他者との差別化を図らないといけません。

というわけで、こちらの作品は、笑えるゾンビ映画となっております。

ウィキペディアによりますと、元々ある映画のパロディとして作られたそうですよ。

しかしながら、元の映画なんて知らなくても、独立した一本の作品として十分に楽しめます。

ゾンビ映画としてのゾクゾク感もあり、コメディ映画としての面白さもありますが、私が好きなのは、ラストの、社会がゾンビとの共存を模索し始めているのが見えたところです。

ゾンビたちとの戦いが終わった半年後、ショーンと恋人のリズは日常を取り戻し、テレビを見ていました。

テレビには、ゾンビと共存し始めた人間たちの、努力や苦労が映し出されていました。

この、テレビを通してっていうのが、なんだか好きです。

ゾンビが人々を襲った日のことは「Z-DAY(ゾンビ・デイ)」と呼ばれていて、当時のことを振り返る報道番組もあれば、いまだ生き残っている?ゾンビの活用方法を紹介する番組もあります。

あるチャンネルでは、ゾンビを使って、日本のバラエティでよく見かける体を張ったゲーム番組をやっていましたし、別のチャンネルではゾンビを救済しようという団体を紹介していました。

これを見たときは単純に笑ってしまったのですが、笑った後は、ちょっと複雑な気分にもなりました。

ゾンビ救済は、まあ、いいとして、ゾンビを使ってゲームとか、どうなのでしょう。

元は生きた人間ですし、まだ“ゾンビ・デイ”から半年しか経っていませんし、ゾンビとなった人達の親族や友達が、普通に、そのへんにいるのですよ。

そのうち「ゾンビにも人権が~」という人たちが出てくるのは確実です。

ゾンビに人権はないと思いますが、ゾンビとなってしまった人たちに対する感情は残っていて当たり前ですから、そのへんの配慮は必要で、しかし法にまでする必要はあるのかな、とか。

テレビの中では、夫がゾンビになっても、そのまま夫婦生活を続けているという女性が出演していました。

回りの反応は「うえ~っ」という感じでしたが、女性にしてみれば「ほっとけや」という思いでしょう。

実はショーンも、物置に、ゾンビとなったエドを飼っておりました。

このエドという男、ショーンの幼馴染みにして親友です。

“ゾンビ・デイ”以前のエドは、ショーンの家の居候で、まともな仕事をしておらず、ほとんどの時間はテレビの前に座ってゲームをしているようでした。

ゾンビとなったエドは、やはり画面に向かい、コントローラーを手にゲームをしていました。

人はゾンビになると、生きていた頃の生活をなぞる習性があるそうですよ。

で、ショーンはエドの横に座って、エドが生きていた頃と同じように、一緒にゲームを始めるのです。

ゾンビとなったエドはショーンを食べようともするのですが、ショーンが制止してゲームを始めると、エドもゲームに戻ります。

エドは小学生の頃からの親友で、ショーンはエドが好きでした。

元々、仕事に行くより、“エドと一緒にゲームしていたい”感を醸し出していたショーンです。

エドと馬鹿騒ぎしたり、ふざけ合ったりするのが、29歳のショーンには、まだまだ楽しかったのですよ。人になんと言われようともね。

もし、エドを物置に隠していることが人権派にみつかれば、「エドには死ぬ権利がある」と非難されること必至です。…たぶん。

もしくは、ご近所さんに見つかって、「気持ち悪いから始末して!」と言われるかもしれません。

なんか、すごいですよね。

人類の生存が脅かされるなら、「ゾンビなんぞ殲滅してしまえ!」で済む話ですが、人類の脅威にならないなら、かえって問題は複雑化するようです。

でも、ショーンにとっては簡単な話です。まだエドが完全に死んでいないなら、いや、死んでいるのですが、ああ、複雑だ。

とにかく、①ゾンビは脅威にならない、②エドは大切な友達、①②であるならエドがここにいてもいいじゃんという、実に単純な話なのです。

ゾンビとの共存は、普段の人間関係と同様で、単にコミュ力の問題になってくるのかもしれませんね。

……え?違う?

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ショーンとエドが大好きです

ショーンとエドって、いわゆる負け組です。

エドは親友であるショーンの家に居候していて、仕事もしていない29歳なので、分かりやすくダメ人間です。

しかも、エドの少しばかりの収入は、イケナイお薬を売ることで得たものです。

本当にクズですね~。

そして、ショーンは真面目に働いていますが、たぶん、かつて夢見た自分にはなれていないのだろうと思われます。

彼は家電量販店で販売員をやっていますが、同僚の17歳に見下されて、共感を示すつもりで「俺だって、やりたいことがある」と言ってしまい、「いつやるんだよ」なんて、さらに見下されてしまうのです。

うわ~。17歳の態度、腹立つわ~。ですがショーンの立場では勝ち目がないのです。

ショーンが自分を卑下する必要はないのですが、でも、ショーンにみれば、大学まで出て17歳と同じ仕事をしていることに忸怩たる思いがあるでしょう。

大学を出たからといって、必ずしも思い通りの就職ができるとは限りませんが、ショーンの何がいけなかったのか。

見ていると、優しすぎるというか、押しが弱いというか。

こういう性格は、就活でも恋愛でも、いい方向には作用しないものですよ。

なので、当然、恋愛もうまくいっていません。

恋愛に関しては性格だけでなく、エドも原因の一つとなっていました。

いつもいつもデートにエド同伴では、そりゃ振られます。というか、エドの行きつけのパブがデート先なのですよ。ショーンも何を考えているのだか。

しかし、リズに振られても、ショーンはエドを切り捨てられませんでした。

というか、ショーンは本当にエドが好きなのです。理屈でなく、馬が合うのでしょうね。

もう一人のルームメイトのピートにしてみれば、金は入れない、リビングに陣取ってゲーム三昧のうえ掃除もしない居候なんて、腹が立って当然です。文句の一つも言いたくなります。

ショーンもピートの言い分は分かるのです。大人ですからね。

でもエドといると楽しいのです。エドに注意をしようとして、エドのゲーム画面が目に入ると、思わず「ナイス!」とか言ってしまうし、エドの小学生レベルのいたずらに、ついつい笑ってしまう。

ああ、もう、わかるよ。エドといると楽しいし、このまま変わらなくてもいい、大丈夫だって気にもなるよね。

リズに振られて飲んだくれて、アラサー男2人がヒップホップで踊り狂っているのも好きだったよ。

さすがに、危機的状況の中で、エドがゾンビに見つかるような真似をしたときは、ショーンも怒ったけどさ。

でも、最後は親友に戻って、2人はまた一緒に暮らしている。

なんで、この映画はこんなにも優しいのでしょうね。泣ける。

ショーンはリズの心も取り戻して、ゾンビ・デイの後は、思い描いた未来とは違うかもしれないけども、それに近い生活を手にしたのかもしれません。

エドの気持ちは!?と思わなくもないですが、生前のエドを知っていれば、彼はゾンビになったくらい気にしないだろ、とも思えるのです。

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映画情報

製作年/2004年
製作国/イギリス
監 督/エドガー・ライト
出 演/サイモン・ペッグ/ニック・フロスト

日本では、当時、劇場未公開だったそうです。なぜ?

 

映画の中で、ショーンたちがゾンビのフリをするシーンがあるのですが、ゾンビたちは、ゾンビと人間をどうやって識別しているのでしょう?

『ゾンビランド』でも、本人役で出演していたビル・マーレイが、ゾンビのフリをして外出するという話があったのですよ。

ゾンビのフリして逃げ切れるなら、ゾンビはそこまで脅威じゃなくなりますね~。

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