映画『天使のくれた時間』ネタバレ感想 あの日あの時、別の選択をしていたら…

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ある男が、現実に選んだ人生とは別の人生を体験する。

そういう設定の映画です。

映画には珍しくない設定ですが、この映画の面白いところは、主人公が別の人生をまったく望んでいないのに、そこへ放り込まれるところですね。

いや、面白かった!

というわけで、この映画の感想を語ってみたいと思います。

「あの子って本当に天使なの?」という方も、「これってクリスマス映画なの?」という方も、よろしかったらお付き合いください。

ただしネタバレ・あらすじを含みます

お嫌な方はここまででお願いいたしますm(_._)m

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『天使のくれた時間』ネタバレ感想

記憶がおぼろになっている方&見ていない方のために、簡単なあらすじを。

ジャックはウォール街にある金融会社の社長となり、独身ではあるが人生を謳歌していた。しかしクリスマスの朝、目覚めると彼はタイヤのセールスマンとなっており、同じベッドには学生時代の恋人・ケイトがいた。ケイトとの間には2人の子供までがいて、ジャックは望んでもいなかった別の人生を生きることとなる。

もしも、あの日あの時、別の選択をしていたら

学生時代、恋人同士だったジャックとケイト。

二人は結婚の約束をしていましたし、将来についてもとことん話し合っていました。

しかし、結婚と同時に仕事での成功も望むジャックと、仕事への野心はあったものの、普通の家庭を望むケイトでは、うまくいくはずもありません。

ジャックがイギリスの銀行へ研修に行くタイミングで、二人は別れました。

13年後、ジャックの姿はウォール街にあり、仕立ての良いスーツに身を包んだ彼は、やり手のビジネスマンとなっており、一夜を共にする相手にも不自由はしていませんでした。

そんな彼が、突然、”ケイトとの結婚を選んだ人生”に放り込まれたのです。

クリスマスの朝、目覚めると13年前に別れた恋人が横にいて、寝室に乱入して来る子供に犬!

ジャックの慌てぶりが、実に笑えます。

なんでこんなことが起こったのか分かりませんが、不思議な黒人の男の子が関係しているようです。

彼が天使? それとも悪魔?

分かりませんが、彼がジャックを別の世界に放り込んだことは確かです。

最初にも書きましたけど、面白いのは、ジャックはとくに、暖かな家庭を望んでいたわけではなかったことです。

”ケイトと結婚した人生”の中で、ジャックは自分の立場が受け入れられません。

そりゃ、億の金を動かす仕事をしていたのに、一夜にして小売店のセールスマンです。

誰だって受け入れがたいですよね。

しかし、苦悩するその姿は、「中年の危機」そのもの。申し訳ないですが笑ってしまいます。

でも、ケイトもまた、生活に追われ、日々疲れていました。

仕事を終えて帰って来ても、自分が食べさせなければ飢える子供が2人もいます。

毎日毎日、子供の世話に家のことに仕事にお金の心配に……

夫の様子がおかしくても、優しく接する余裕もなかったりします。

ケイトの気持ちも分かるけど、私にはジャックの絶望感のほうがリアルだったな。

自分の仕事に意味がないと思ってしまったときの絶望感。

意味のないことをし続けなければいけないと悟ったときの絶望感。

それは子供のためと分かっていても……絶望感。

胸が痛い……。

でも生活は続いていきます。

ジャックがあがいたところで元の生活に戻れないなら、今の生活を続けるしかない。

赤ん坊はミルクを待ってくれないし、仕事を失うわけにはいかない。

そんな中で、家族に対する愛情が芽生えていくのは当然です。

ただ、13年前にケイトではなく仕事を選択したジャックAは、やはりジャックAだった。

愛すべき家族のためでもありますが、チャンスを最大限に生かして、元の世界で働いていた金融会社へもぐり込むことに成功したのです。

やった!と思ったのですよ、ジャックは。

家族のために、もっとたくさんの収入が得られる!

家族のために、もっといい生活ができる!

でもケイトは郊外の家で、今の生活で、満足していたのです。

勝手に転職を決めたジャックに腹を立てるケイト。そんなケイトが理解できないジャック。

ケイトにしても、ジャックの行動が理解できないのですよ。

間違っても上流とかリッチとか言えない生活ですが、郊外の家で年老いていくことに、ケイトは不満はないのです。

ですが、ケイトは、ジャックの転職を受け入れると言います。

自分がこうありたいと思った生活や将来より、愛するジャックを取ると断言するのです。

このシーンのケイト、めっちゃ格好良かったです。

ジャックもこのケイトの言葉には感動したようで、転職を考え直すのでした。

ですが、またジャックのもとに天使/悪魔があらわれます。

ジャックは元の世界に戻ります。

この天使/悪魔、ジャックになにをしたかったのか、私にはとっても謎です。

「独身なんていいことないぞ、家族を作れよ」って言いたかったのかな?

大きなお世話だと思うのですが、元の世界に戻ったジャックは打ちひしがれます。

これでもかと家族団欒を味わった後ですから、当然ですね。

初老になると、どんな選択でもいいと思えてくるよ

ガラスの天使

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元の世界に戻ったジャックは、やっぱり家族団欒が忘れられず、ケイトに会いに行きます。

ですが、こちらのケイトAは弁護士として、独身バリキャリ街道驀進中です。

もちろん、娘や息子の存在なんて知るわけもありません。

しかも13年前とは立場が逆転して、彼女は仕事でパリに移住する直前でした。

でも、結局のところ、ケイトは飛行機には乗らず、空港のカフェでジャックとコーヒーを飲むのでした。

映画はそこで終わるので、その後の2人がどうなったのかは分かりません。

ただ、ケイトは、ケイトAもケイトBも、ジャックに対する気持ちのブレはないように思えました。

結婚して家庭がほしいだけなら、ケイトAもとっくに結婚していたと思うのです。

イブの夜にジャックに電話をしているわけですし、そうなると元々ジャックの気持ち次第だったわけで、まあ結果はハッピーエンドでしょうね。

しかし、この年になると、選択肢はもうどれだっていいと思ってしまいます。

ジャックAの人生だって悪くないと思うのですよ。

仕事を極め、一生独身だとして、それがなにか?ってもんですよ。

ケイトAがジャックを振り切ってパリに行ったとしても、それはそれでいいじゃないですか。

もしかすると、パリで素敵な出会いがあったかもしれません。

その彼はジャックよりいい男だったかも?

まあ、ジャックとの復縁も悪い話ではないと思いますが。

とにかく、どんな人生を選んだところで、本人が満足ならそれでいい。

本人が「これ!」と覚悟を持って選んだのなら、それでいいのですよ。

結果はただ受け入れるのみです。

私はそう思います。

だからこそ、なんで天使/悪魔があんなに結婚推しなのか、ほんと不思議。

子孫繁栄こそが人間の生きる答えとか言われたら、ぐうの音も出ませんが(汗)

でも、お一人様としては、ちょっと反発してみたくもなるのです。

とはいえ、これが面白い映画であることは確かです。

クリスマスが背景のストーリーではありますが、いつ見ても楽しめる映画だと胸を張ってお勧めいたします。

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映画情報

製作年/2000年
製作国/アメリカ
監 督/ブレット・ラトナー
出 演/ ニコラス・ケイジ/ティア・レオーニ

日本での公開は2001年です。

これはファンタジー映画なので細かい設定はアバウトでいいと思うのですが……

ジャックBのこと、気になりません?

ジャックAがジャックBの世界でマイホームパパをやっていた間、ジャックBはジャックAの世界で社長をしていたのでしょうか?

元の世界に戻ったとき、ジャックBは自分の人生をどう感じたのでしょう?

ジャックBの意見が聞きたいところですね~。

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