映画『摩天楼はバラ色に』ネタバレ感想 バラ色の80年代とマイケル・J・フォックス

世界はバラ色 シネマ手帖・洋画
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80年代全開のコメディ映画です!

初老には懐かしく、若い方には、「こんな時代もあったのね~」と思ってもらえる映画かな?

女性のメイクとか服や音楽もさることながら、世の中が右肩上がりだった時代の空気を感じてもらえると嬉しいです。

というわけで、この映画の感想を語ってみたいと思います。

「マイケル・J・フォックス、ファミリータイズの頃から好きだったの!」という方も、「彼の真骨頂はバック・トゥ・ザ・フューチャーよね!」という方も、よろしかったらお付き合いください。

ただし、ネタバレ・あらすじを含みます

お嫌な方はここまででお願いいたしますm(_._)m

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映画『摩天楼はバラ色に』ネタバレ感想

記憶がおぼろになっている方&見ていない方のために簡単なあらすじを。

ブラントリーは大学卒業後、成功を夢みて、カンザスからニューヨークにやってきた。しかし就職予定だった会社が買収にあったため、いきなり失業者となる。新たな就職先を探すもののうまくいかず、遠い親戚のハワードおじさんを頼っていくと、ハワードの会社で配送係として雇ってもらえることとなった。出世の見込みなどないブルーワーカーだが、ブラントリーは重役のふりをし、経営陣の中へもぐり込むことに成功する。

バラ色の80年代とマイケル・J・フォックス

もう、なにもかもが、80年代の空気にあふれています。

この邦題だってそうですよ。

「なに? このダサダサ感……」と思います。

ですが、このダサダサ感が、たまらなく懐かしいのです。

この邦題を考えた人、当時はどんな気持ちだったのでしょうか。勝手な想像ですけど、けっこう「ドヤァ」って感じだったのでは?

若い頃は、「摩天楼がバラ色ってどんなだよ」と思っておりましたが、振り返ってみますと、あの時代は確かにバラ色でした。

なんといっても、未来に希望が持てた。

日本もアメリカもです。

この映画の主人公であるブラントリーも、希望を持ってニューヨークにやってきました。

世界の中心! それがニューヨーク!

ニューヨークにはチャンスがある!

俺には実力がある!

というわけでチャンスは俺のもの!

待ってろ、ペントハウス! 待ってろ、ぴかぴかの美人!

という感じでしょうか。

私の友達にもいました、こういう人。

第一希望の会社に就職して、でかいことやったるで~!! と息巻いていました。

いい時代でしたね~。

自分の国にも、自分にも、輝かしい未来があると素で信じていたのですね。

ですが、ブラントリーは、ニューヨークに出てくると同時に失業してしまいます。

雇ってくれた会社が乗っ取りにあってしまったのです。

この頃のアメリカ映画では、こんなシーンがよくあったので、そういう時代でもあったんでしょうね。

M&Aがなんとかとか、かんとかとか。

そんなわけでブラントリーは急遽、職探しに奔走するわけです。

ですが、いくらいい時代といったところで、大学出たての若造に、すぐに仕事はみつかりません。

なので仕方なく、遠い親戚のハワードおじさんを頼っていくのです。

おじさんと言っていますが、「それ、血のつながりはないよね?」という関係です。

おじさんは大きな会社の社長で、ブラントリーはもう、やけっぱちで演説。

その演説に、ハワードおじさんは少しだけ心を動かされて、ブラントリーを配送係にやとってくれます。

配送係じゃ、はなから出世は見込めませんけどね。

しかし、そこは80年代!

いや、時代は関係ないけど(笑)

ブラントリーはクビになった重役の空き部屋を使って、新しい重役になりすまします。

そこから、作業着姿の配送係と、スーツ姿の若き重役としての、慌ただしい二重生活が始まるのです。

もうね、この役には、マイケル・J・フォックスしかないと思います。

彼の愛嬌というか、かわいらしさが、「そんなの無理でしょ?」という出来事を笑いに変えてくれるのです。

着替えるために裸になっているところを秘書に目撃されても、なんとか乗り切ってしまうところとか、ついつい笑ってしまいます。

本当にコメディ向きな俳優さんです。

彼には人を笑顔にできる才能があるのですよ。

しかもですね、彼は俳優としてはハンデとなりそうな低身長なのに、それさえ武器になっています。

ぶっちゃけ、かわいい!! のですよ。

語彙が貧困で申し訳ないです。

ですが、かわいいものはかわいいのです!

彼はファミリータイズというドラマから人気が出て、誰もが一度は耳にしたことのある映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の主演でスターとなり、その流れからの、この映画です。

主人公の成功と、マイケル・J・フォックスという人の、最も勢いのある時期も重なって、まさに“バラ色”の“成功”を詰め込んだ映画なのです。

“成功”が手の届くものと簡単に思えた頃

ブルックリン橋

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マイケイルの成功はさておき、この映画の主人公ブラントリーもまた、成功を手にしようと奮闘します。

前にも書いたとおり、時代の高揚感もありますが、ブラントリーは大学を出たての青年で、この年頃の万能感とでもいうのでしょうか、それを感じられるお話でもあります。

カンザスの家で、父や母に、次に帰ってくるときは自家用ジェットで帰ってくるよ、なんて言っています。

ペントハウスに住んで、ピカピカの美人と恋をするとも言っていました。

ご両親は、たぶん本気にはしていません。

でも、叱ったりはしない。

そりゃそうです。

このくらいの若者の言うことを、いちいち真に受けたりはしないでしょうし、人生の中で夢を見られる時間が少ないとも、ご両親は分かっています。

若いっていいなぁと、年を取ると本当に思います。

夢を口にしたって、眉をひそめられることもなく、苦笑で済ませられるんですからね。

夢を語っている本人も、いい気持ちでしょうしね。

ただ、壁にぶち当たるのは、あっと言う間です。

普通はそれで現実を知って、自分はこんなものかと悟ったり、諦めたりします。

そこから上に行けるのは、本当に実力があって、努力を厭わない精神力のある人だけです。

で、ブラントリーには、それがあった。

しかも彼、ハワードおじさんの奥様、つまりおばさんから、「出世させてあげる♡」なんて申し出を受けました。

ブラントリーはヴェラが“おば”であるとは知らず、大人の関係をもってしまったからです。

でもブラントリーは、あっさり断ります。

出世は自分の力でするそうです。

ああもう、若いなあ~と思ってしまいました。

若さゆえの軽さですよね。自分の掴みかけたチャンスの大きさがわかっていないのです。

でもですよ、これが自惚れだとしても、若さゆえのこの軽さが、初老には実に眩しく、初々しいのです。

その後、ブラントリーは、ヴェラがおばさんであると分かり後悔しますが、ヴェラはなんだかんだと、ブラントリーに迫ります。

そんなヴェラに困り果てるブラントリーから、嫌らしさは感じられません。

ヴェラに対して、ヴェラは美しいということを、いつも屈託なく言ってのけるし、困りはするけれど、嫌悪はしない。

そんなブラントリーをヴェラはますます気に入って、経済界の大物をブラントリーに紹介したりします。

重役になりすまし続けることはできませんでしたが、最後に彼は、大きな成功を手に入れます。

こうしてみると、やっぱりマイケル・J・フォックスって、希有な役者さんだったんだなぁ。

ブラントリーの屈託のない雰囲気は、きっと彼にしか出せなかった。

と、かつて、マイケルが好きだった私が言ってみる。

昔はただ、マイケル・J・フォックスが好きで見た映画ですが、こうして何十年も経って見てみると、若さゆえのビッグマウスを心地良く感じたりして、改めていい映画だな~と思ったのでした。

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映画情報

製作年/1987年
製作国/アメリカ
監 督/ハーバート・ロス
出 演/マイケル・J・フォックス/ヘレン・スレイター

日本での公開も1987年です。

この映画の後で、どシリアスな映画に出演していたマイケル・J・フォックス。

でも、マイケルが最も輝けるのはコメディ映画だよなぁ……と言ったら、ご本人はお嫌でしょうか?

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