動画配信アプリで、配信終了前の『なまいきシャルロット』を駆け込みで見ました。
なんなのでしょうか?
この動画配信、初老を狙い撃ちしているのでしょうか?
懐かしいですねぇ、『なまいきシャルロット』。
初老諸姉は、内容を覚えていますか?
シャルロット・ゲンズブール、かわいかった! 足が長かった!
なんだかフランスだった! おしゃれだった!
私は、そんな印象が残っている程度で、見直してみました。
そして思ったのは、13歳って、こんなにも遠くなったのねという感慨?です。
13歳のシャルロットを演じているのは、14歳のシャルロット・ゲンズブール。
今や彼女も50代目前。
昔々、映画館で『なまいきシャルロット』を観たよ!という諸姉も、そんな映画があったの?という諸姉も、ぜひ最後までお付き合いください。
見ていない方も、懐かしい気持ちになれる映画です。
※軽くネタバレを含みます。お嫌な方はここまででお願いします。
『なまいきシャルロット』あらすじ
13歳のシャルロットは夏休み直前。
水泳の授業では、恐怖から飛び込みができず、クラスメイトに笑われる。
プールから逃げたシャルロットは、通りかかった音楽室で、クララ・ボーマンの演奏会の様子を見ることになった。
クララ・ボーマンはシャルロットと同じ13歳、美しい天才ピアニスト少女である。
そんなクララに、シャルロットはすっかり魅了されてしまう。
輝くクララとは対照的に、シャルロットの夏休みは、なにもかもうまくいかない。
友達とはケンカをして会えず、兄は、兄の友人たちとバカンスへ。父親からは小言ばかり。
話し相手は、ご近所で、病気がちの少女ルルと、メイドのレオーヌだけ。
ある日、シャルロットは、工具職人である父から、お使いを託(ことづ)かる。
ルルをつれ、小さな工場に向かうシャルロットに、道をたずねる人がいた。
それはクララ・ボーマンのマネージャーと、クララ・ボーマン本人だった。
クララと知り合い、クララを取り巻く世界をかいま見たことで、シャルロットは自分の未来も変わると思い込む。
13歳少女の、夢と希望と、現実の物語。
『なまいきシャルロット』感想
シャルロット役のシャルロット・ゲンズブール、美人ではないです。
ですが、かわいい!
声を大にして言いたい。Kawaii!
シャルロットは13歳、演じるシャルロット・ゲンズブールも当時14歳。
この年齢を聞くだけで、もうかわいい。
なんというか、私も年を取ったなぁと感じます。
なので、途中、かわいいのだけど、何も分かっていない13歳にけっこうイラッときたんですよね。
前に見たとき、シャルロットにイラついた記憶はありません。
いつの間にか、というか、もうずっと前から、私はシャルロットのお父さん側にきちゃっている。
13歳の頃ってこんなだった?
私はもうちょっとマシじゃなかった? なんて思いましたが。
思い出すこともなかなか難しかったのですが、私もシャルロットと同じでした。
待ちに待った夏休みも、暇を持て余して、友達と「つまらない」を連発しながら時間をつぶしたり、一人であちこち徘徊(はいかい)してみたり。
親に対しても、なんであんなことを言うんだろうとか、平凡な両親がすごくつまらなく感じたり、つまり、なんていうか、身の程知らず?(汗)
13歳のシャルロットは、父親にも家にも学校にも、自分を取り巻くすべてに不満だらけで、現実が見えていなくて、フワフワしていて、時々、痛々しく見える。
私もシャルロットのように見えていたのだとしたら、恥ずかしすぎる……。
初老の私から見れば、シャルロットのお父さんは、とてもいいお父さんだと思います。
シャルロットはボロい家というけれど、家を維持して、子供たちを食べさせて、亡くなった奥様の代わりをシャルロットにさせることもない。
家事はレオーヌという女性がやってくれています。
シャルロットが、お父さんの仕事道具である工具を雑に扱っても、本当は怒鳴りたいでしょうに、声を抑えて、元の場所へ戻すよう、シャルロットにお願いをする。
えらいなぁと思います。
お父さん、頑張ってますよ。うん。
小さなことと言われるかもしれませんが、この、物を使って出しっぱなしとか、電気付けっぱなしとか、あろうことか、冷蔵庫のドアを開けっぱなしとか、私なら、もう、とっくの昔に怒鳴りまくっています。
でも、シャルロットにしたら、小さなことでガミガミガミガミ小言を言われることに、腹が立って仕方がないんですよね。
こんなことでって、たぶん思っている。
ああ、わかる。
お父さんの気持ちも。シャルロットの気持ちも。
13歳に、家計を支える苦労をわかれというのが無理かもしれません。
この双方向の交わらなさ、確実に覚えがあります。
そしてシャルロットにとって幸か不幸か、憧れの少女、クララ・ボーマンに出会ってしまう。
コンサートでシャルロットの住む地へ来たクララが、偶然、シャルロットに道をたずねる。
言ってしまえば、ただそれだけのことなのですが、夢見る夢子のシャルロットには、運命の出会いに感じられます。
そこからシャルロットの暴走が始まるわけです。
クララの泊まっている場所は、貸別荘なのかホテルなのか、きれいで静かで広くて、そりゃあシャルロットの家から見たら、天と地ほどの差です。
そこに入り込んだシャルロットは、ここから帰らないと決心します。
まあ実際はいったん家に帰りますが、気持ちとして、クララの住む世界へ行く!という決意表明なのかな。
クララから付き人になってくれたら嬉しいとも言われて、すっかりその気になるシャルロットです。
「私は旅に出るの」
「もうここへは帰ってこないかもしれないわ」
「旅に出たらあなたを思い出すわ」
こんな言葉を口にしているとき、13歳のシャルロットは、本当に幸せだったと思います。
何も傷つかない、空想の中の旅です。楽しいでしょうね。
そんな心の底から楽しめる空想、できるものなら、私ももう一度味わってみたい。
ただ、クララと話すこともできず、時間だけが過ぎていくと、クララと旅に出るということに現実感がなくなっていきます。
それでもシャルロットは、クララのコンサートに行きます。コンサートの後はクララと旅に出ると言い張ります。
はい、ネタバレ入ります。
いやな方は、バック、バック、です。
結局、シャルロットは旅には出ません。
当然ながらね。
そして、友達のルルに、なぜ行かなかったのかと訊かれ、
「私、自分が自由になりたかっただけなの」
と、答えます。
13歳でそれがわかるなんて、ずいぶん大人になったもんです。
途中、シャルロットに対して親のように苛立ったり、13歳の頃を思い出して恥ずかしくなったりしましたが、見終わった後の気分は爽やかです。
シャルロットもルルも映画の中の人物ですが、今頃、どんな大人になっているのかなぁと思える、いい映画でした。
ただ、あらすじでも感想でも触れなかったのですが、シャルロットに振り回されたジャンという男の子だけは、ちょっと気の毒だったなと付け加えておきます。
映画情報
製作国/フランス
監 督/クロード・ミレール
日本での初公開年は1989年です。
有名な話ではありますが、シャルロット・ゲンズブールの父は歌手のセルジュ・ゲンズブール、母は女優のジェーン・バーキン。
すごい、豪華。
家に帰ると、セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンがいるって、豪華…としか言いようがないですよね。
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