女性が主人公の、楽しいバケツリスト映画です。
バケツリストとは「死ぬまでにやることリスト」という意味です。
なぜ“バケツ”なのかというと、英語で、人が亡くなるときの言い回しに“バケツ”を使うことがあり、そこからきているようです。
でも、「そんな内容の映画なのに、楽しいの?」と思われました?
はい、楽しいです!!
というわけで、『ラスト・ホリデイ』の感想を語ってみたいと思います。
「実はバケツリスト映画が大好きなの!」という方も、「そんなリストの話、初めて聞いた!」という方も、よろしかったらお付き合いください。
ただしネタバレ・あらすじを含みます。
お嫌な方はここまででお願いいたしますm(_._)m
映画『ラスト・ホリデイ』ネタバレ感想
記憶がおぼろになっている方&見ていない方のために簡単なあらすじを。
ハッピーエンドのバケツリスト映画ってありですか?
最初に申しましたが、バケツリストとは、「死ぬまでにやりたいことリスト」という意味です。
なので、主人公ジョージアの余命は、いくばくもないということがお分かりいただけると思います。
そんな状態でハッピーエンドってあり? ということですが……
さっそくネタバレにいきたいと思います。
知りたくない方、これ以上読まないでくださいね。
ジョージアの余命宣告、誤診だったのです。
CTスキャンが中古だったことが原因かと思われます。
いや~、迷惑にもほどがありますよね。
ですが、医師から余命3週間と告げられたら、誰だって本気にします。
当然ジョージアも医師の言葉を信じて、泣いて、ヤケ酒となりました。
ジョージアの苦い涙の味、私にも分かります。
長く生きていると、人の絶望感も手に取るように分かりますよ、うんうん。
分からないのは、彼女が神に怒りをぶつけ始めたことです。
いや、神を恨むのは分かる、分かります。
でも、「なんで私なの!?」って、本気で、声に出して、ジョージアは渾身の怒りを神にぶつけるのです。
このシーン、涙を流して笑ってしまいました。
教会の聖歌隊っていうのでしょうか、ジョージアはそれの一員で、でもあまりやる気がない感じだったのです。
しかし、自分の余命がわずかと知ったジョージアは、歌の途中で「なぜ!?」と神に問い掛けます。
というか、怒りをぶつける。
ジョージアは黒人女性で、教会に集う皆さんも黒人です。
民族性なのか、「なぜ!?」と歌うジョージアに呼応して、皆さま叫び返し、踊り出します。
すごいな~。
泣きながらも、笑ってしまった私は悪くないと思います。
そして、神に怒りをぶつけた勢いで、ジョージアはいつか行ってみたいと思っていた、でも、それはたぶん憧れのまま終わるはずだった、セレブ御用達の高級ホテルに予約を取ったのです。
バケツリスト映画の中でもダントツの爽快感!
映画の中でちょこっと感動したのは、ジョージアが「憧れスクラップ・ブック」なるものを持っていたことです。
料理が趣味のジョージアは、自分の好きな料理人の切り抜きや、憧れのシェフがいるホテルのパンフレット?など、スクラップしていました。
これ、私も子供の頃にやっていました。
インテリアが好きで、気に入った部屋の切り抜きをスクラップしたり、美術展のチラシやイラストや、とにかく気に入ったもののスクラップ・ブックを作っていましたよ。
いつかこんな部屋を作りたいな~とか、憧れとか夢とかをかき集めたものです。
もう処分してしまって、見ることもできませんが、思い出すと胸がきゅんとします。
しかしです。もし、そんなスクラップ・ブックが手元にあって、余命宣告されたとしたら……
はい、ジョージアは有り金すべておろしてきて、憧れのシェフのいる、チェコのグランドホテル・プップへと旅立ったのです。
バケツリスト映画って、たまにありますよね。
以前紹介したこれ、これも素敵なバケツリスト映画です。
そして、他にも同テーマの映画はありますが、バケツリスト映画の魅力ってなんだと思いますか?
私、バケツリスト映画は、カタルシスを与えてくれるから人気があるのだと思うのです。
残された時間はあとわずか、それなら思ったこと、やりたかったこと、全部やってしまおう!
そんな、悲しいながら、スカッとする設定がウケるのではないでしょうか。
とするなら、『ラスト・ホリデイ』はまさに、王道中の王道です。
普段は地味で控えめなジョージアが、銀行から預金等全額引き出し、「パーッと使うの」という時の表情に、見ているこちらもうっとりします。
また、プラハへの飛行機の中、偉そうな客室乗務員に、今までなら言えないような文句も、思いっきりぶちまけちゃいます。
慇懃無礼で高圧的な白人の客室乗務員が、「何か問題でも?」と声をかけてきたとき、ジョージアがちょっと気後れするのが分かりました。
余命宣告の前なら、たぶん、言いたいことを飲み込んでいたでしょうね。
しかし、やりたいことをやると決めたジョージアは、手にしていた飲み物を一気飲みして、言いたいことを言ってしまうのです。
この一気飲みがいいのです。
その後も、彼女の快進撃は続きます。
最寄り駅からホテルまではタクシーで行くしかなさそうですが、タクシー乗り場は長蛇の列。
ふと見ると、ヘリコプターの看板がある。
乗っちゃえ♪
ヘリで来たから早く着きすぎちゃった……空いている部屋は一晩40万円以上の部屋だけ?
オッケー、オッケー、そこに通して♪
こんな調子です。
今までやったことのない、スノーボードもベースジャンプも臆せずやっちゃう。
あと、私的には、ホテルの極上シーツに体をすりすりしているシーンも好きでした。
エステ後のすべすべお肌に、高級なシーツの感触は素晴らしく良かったに違いありません。
自分の楽しみをとことん追求しまくるジョージアの姿に、見ているこちらもスカッとします。
「そりゃ~、余命が分かっていたら、好き勝手できるでしょ」と思うなかれ、初老諸姉よ。
ジョージアのように前向きに怒りを発散できるかどうか、それは人によるとしか言えません。
死にたくないとつぶやく彼女を見るときはちょっと泣けますが、ダイエットなんてクソ食らえの食べっぷりや、その食べっぷりに心酔するシェフ、同じくホテルに休暇でやってきた、ジョージアが勤めていたデパートの経営者との丁々発止などなど、スカッとポイント盛り沢山です。
しかも、ラストでは誤診ということが分かり、心ゆくまで、奥手女子の快進撃を楽しめる映画なのでした。
映画情報
製作国/アメリカ
監 督/ウェイン・ワン
出 演/クイーン・ラティファ/LL・クール・J
日本では劇場未公開です。
いや、びっくり。普通に映画紹介されていて、いつか見たいな~と思っていて、プライムビデオに(そんなに高くもなく)あったので、レンタルして見ました。
まさか、劇場未公開だったとは。
面白い映画なのに、なぜ?
まあ、儲からないと思ったからでしょうが……
もし公開していたら、口コミでけっこう観客動員できたのでは? と思うのですが、どうでしょうね~。
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