映画『はじまりのうた』あらすじネタバレ感想 始まりに気付けるかで人生は変わる

始まりはここから シネマ手帖・洋画
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才能ある人が成功する話が好きです。

この映画には、音楽の才能にあふれた人たちが、てんこ盛りで出てきます。

でも、ただの成功物語で終わらない映画です。

まだ見ていない方のために、あらすじを書いておきます。

ただ感想はネタバレを含みますので、ネタバレOKの方のみ、この先へお進みくださいm(._.)m

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『はじまりのうた』あらすじ

恋人であり、作曲のパートナーでもあるデイヴとともに、イギリスからニューヨークへやって来たグレタ。

デイブの曲は映画の挿入歌として、すでに人気を得ており、デイブは順調に売れていく。

グレタといえば、デイブが契約した会社からはただの彼女扱い、デイブも浮気をしてしまい、グレタは、音楽仲間で友人の、スティーヴの元へ身を寄せる。

親身になりグレタを心配するスティーヴは、自身が出演するライブハウスへグレタもつれていき、彼女にも無理やり歌わせてしまう。

よけいに落ち込むグレタだったが、偶然居合わせたダンが、グレタをスカウトすることとなった。

ダンは会社をクビになったばかりの音楽プロデューサーで、デモテープを作る制作費もない。会社へいって制作費を要求するが、当然、却下。

ダンの思いついた策は、デモテープではなく、アルバムを作ること。

しかもスタジオを借りる資金はないため、街中で録音することを提案。ニューヨーク中を舞台に演奏することとなったグレタたち。もちろん無許可。

グレタたちの行くところ、必ず警察あり。アルバムは無事できるのか!?

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『はじまりのうた』ネタバレ感想

始まりに気付けるかで人生は変わる

才能のある人はすごいです。

主人公のグレタもですが、グレタの良さを見出すことのできたダンがすごいと思います。

でも、グレタと出会ったとき、ダンはもうホームレス寸前でした。

奥様の裏切りで家族はバラバラ、自分の立ち上げたレーベルからは追い出され、金はない。

どのくらいお金がないかというと、娘の前で食い逃げをしてしまうほどです。

もう、どん底中のどん底ですよ。

自分で人生を終わりにしようと考えていたことが不思議じゃありません。

そんな状態で、それでも、ダンがグレタの才能を見落とすことはなかった。

ダンはどうしようもなく音楽が好きで、彼自身も才能がある人なのだなと思います。

音楽の才能もですが、チャンスに気付ける才能もある。

ライブハウスでのグレタの歌は、グレタの状態が最悪だったということもあって、客には受けませんでした。

グレタが歌っている最中、客はクスクス笑ったり、雑談を始めたりします。

そういう中で、ダンはグレタの才能を見抜いた。

頭の中で、グレタの曲の完成形を聞いていた時、ダンはもう、次の始まりを掴んでいたのです。

チャンスの神様の話を聞いたことがありますか? チャンスの神様は前髪しかないという、あれです。

チャンスの神様が全速力で走ってきたとき、あなたは、神様の前髪をがっしりと掴まなくてはなりません。

神様が通りすぎた後で、神様を掴もうとしても、後ろ髪がないので手が滑ってしまうのです。

私の人生は、神様の通りすぎた、ずっと後になって、地団駄を踏むことばかりでした。

ダンは、今回は、ちゃんと神様の前髪を掴みました。

ダンが落ちぶれてしまった理由の一つに、彼が時代の流れに乗れなかったことがあります。

ダンが所属していた会社は、もともとダンが立ち上げたものでした。

ダンは、自分の会社で、ミュージシャンを大切に育てたかった。

でも、今はスピードの時代です。誰かを大切に育てている余裕はなく、すぐにも結果を求められる。

これは音楽業界だけの話ではないですけどね。

私も初老なので、時代という怪物に押しつぶされる恐怖は少しですが分かります。

会社をクビになったとき、本当に、ダンは時代遅れの負け犬という感じでした。

でもグレタとアルバムを作る過程で、ダンは音楽への喜びを思い出すのです。

この好きなものを再確認する瞬間も、初老にはたまりせん。

そして、最後には、ダンが時代の先端を行ってしまうことが、笑えるほど痛快でした。

この映画、初老向けかもしれませんね(笑)

グレタの人生第二章 グレタの選択は?

次のステージへ

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ダンと出会ったときのグレタもまた、人生で最悪の時を迎えていました。

ただの恋人というだけではない、曲作りでは“チーム”だと思っていたデイヴとの別れで、叩きのめされていたのです。

でもですね~。

初老としては、どうしたって、ダンのほうに肩入れしてしまいます(笑)

グレタは才能があって、きれいで頭が良くて、なにより若い。この先どうとでもなるよと思ってしまいました。

しかし、ダンからのスカウトを拒否していれば、グレタのシンガーソングライターとしての人生はなかったかもしれない。

音楽は趣味のままで、優秀な会社員、良き妻、良き母の人生だったかもしれない。

それでもグレタは良かったのでしょう。

でも、グレタの歌は素敵だし、ダンはグレタによって救われたし、グレタがダンとの始まりを受け入れてくれて良かったと思います。

結果として、グレタは、レーベルと契約を結ばないと言いますが、それを聞いたときのダンの表情はとても穏やかで、ちょっと嬉しそうでさえありました。

そして二人は、ネットで直接、アルバムを販売することにしました。

今では珍しいとも思われない方法ですが、この映画の、本国での公開は2013年です。

ダンのセリフで、自分の業界と戦争になるというのがありましたが、これも時代の流れですよね。

あ、ダンはグレタのおかげで、古巣のレーベルへ復帰できていました。

しかしグレタが契約を結ぶどころか、ネットでの販売を始めたため、ダンは再びクビになります。

でも、前回と違って、ダンは全然、深刻そうじゃありません。

自身の立ち上げたレーベルに、すでに未練はなくなっていたのでしょう。だって次にやることが、もう分かっていますから。

しかも、音楽に対する喜びを持って。

グレタは、元彼とよりを戻すのかどうか分かりません。映画では、そこをはっきりとはさせていませんでした。

でも、どっちを選ぶとしても、彼女は歌うことを続けるでしょうし、音楽を通したダンとの付き合いも続くでしょう。

そこから、次はどんなものが生まれてくるのか、想像するだけで楽しいです。

……個人的には、グレタは、元鞘には納まらないと思うのですが、どうなのでしょうね~。

映画情報

製作年/2013年
製作国/アメリカ
監 督/ジョン・カーニー
出 演/キーラ・ナイトレイ マーク・ラファロ

日本での初公開年は2015年です。

この映画、もともとは、アメリカで5館の映画館でしか上映されてなかったらしいです。

それが口コミで、1300館までに広がったと。

いい映画だという証拠ですね。

 

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