イギリス人女性が描いた、三十路のイギリス人女性が主人公の映画です。
もともと原作の小説があって、これが世界中で大ヒット。
小説が発表されたのは21世紀になる直前くらいの頃なのですが、当時、「ブリジットは私よ!」と叫んだ女性が続出したとかしないとか。
かくいう私も、万年ダイエッターのブリジットが体重を増加させるたび、彼女と一緒に「ぎゃ~!」と叫ぶほどのめり込んでおりました。
そんな私が今や初老。現在ブリジットと同年代の諸姉がどう感じるのかは分かりませんが、私は私の感想を語ってみたいと思います。
ただし、この先はネタバレ・あらすじを含みます。
お嫌な方はここまででお願い致しますm(_._)m
『ブリジット・ジョーンズの日記』ネタバレ感想
記憶がおぼろになっている方&見ていない方のために簡単なあらすじを。
“親の意見と茄子の花”は本当か?という映画
この映画の原作である小説が大好きで、かつて共感しまくりだった私ですが、でもこれ、あちこちの国で同じ現象が起こっていたのです。
ウィキペディアによりますと、2006年時点で本の売り上げが世界で200万部以上だったとか。
また、これは、どこかで読んだ記憶なのですが、作者のフィールディング氏が、「ブリジットは私よ!」というお声をよくもらうのだとおっしゃっていました。
分かる! 分かります~!!
ですが、これまたフィールディング氏がおっしゃっていたのですが、「私はかなりひどい女性(ブリジット)を描いたつもりなんだけど……」ですって。
そ、そうなの?(汗)
でも、傍目には立派なバリキャリ女性たちも、心の中ではブリジットと同じ悩みを抱えていたということなのだと思います。
では、ブリジットの悩みとはなんでしょう?
「愛し愛される相手が欲しいのにうまくいかない!」が一番の悩みかな?
そりゃもう、万国共通、時代も超えて共感される悩みですな。
となると、ブリジットの母にも、その悩みは理解できるわけです。
ですが、時代が違えば、立場が違うのですよ。
ブリジットのお母さんは専業主婦で、お母さんの属するコミュニティも同じような人たちばかりです。どこに行くにも夫婦が単位で、狭い世界で完結しています。
もちろん、それは悪くないのですが、娘世代のブリジットにしてみれば、女も仕事をして自立するのが当然ですし、男を振り向かせる良い女の条件が料理だなんて、あり得んって感じです。
母達からしてみれば、新年だというのに、囚人のような服を着て、1人でパーティーにやってくる三十路女のほうが信じられないのですけどね。
とはいえ、人生の伴侶が必要ということでは意見が一致しているので、母は母なりに、自分が良いと思う男性を紹介してきます。
しかし、これが、ことごとくブリジットの趣味と外れていて、ブリジットはもう母の紹介に期待していません。
今年も、恒例である実家の新年のパーティーに参加して、マーク・ダーシーを紹介されるのですが、会う前から「つまんない中年男でしょ」と思っていたのです。
いたのですが、マークの後ろ姿を見て、ブリジットはトキめいちゃったのですよ。
「まさか、今度こそ本当に運命の相手!?」と思ったのですが、振り向いたマークは、彼の母親から贈られたトナカイ柄のセーターを着ていました。「はい、終了~」となるブリジット。
いやいや、気持ちは分かりますが、彼女だって母親が用意したカーペット柄のツーピースを着せられていたのです。
お互い様だろと思うのですが、お互い、意地が邪魔するのですよ。
ブリジットの幻滅が伝わったマークは、辛辣な視線をブリジットに向けてしまいます。
ブリジットは「酒やめる、タバコやめる(減らすだったかな?)」と言いながら、片手にタバコ、片手に酒でしたからね。
というわけで、お互い「ないわ~」となるわけです。
そもそも、ブリジットは、職場の上司であるダニエルが気になっていました。
このダニエルという男について、ブリジットは日記に、それはもうボロクソに書いていましたよ。仕事人間とか変態(だったかな?)とか。
しかし、この男、めっちゃ色っぽい。見た目は最高、仕事はできる、女に対する手癖の悪ささえも魅力的。
こんな男と真剣に付き合えば、痛い目を見ると分かっているのです、ブリジットも。
でも魅力には抗えない。そして勢いのままに付き合ってしまう。
最初は本当に楽しそうでした。でも、あっという間にダニエルの浮気が発覚。
しかも浮気相手と思っていた相手こそがダニエルの本命で、ブリジットよりも前からの交際相手でした。
その後、すぐに、ダニエルは本命と婚約までしてしまいます。
あ~りゃりゃ……ということで、ブリジットは仕事を辞める決意をします。しないわけにはいきません。
職場恋愛って怖いですね~。相手が上司だったことで、ブリジットは恋と仕事を同時に失くしてしまったわけです。
こうなると、ブリジットの体重は増えまくります。
2~3キロのことなのですが、体重の表示が出てくると、私はやっぱり「ぎゃ~!」と叫んでしまうのです。
この、「痩せねばならぬ!」という思いも、現代の女性には共通なのです。
「考えなしのダイエットは悲惨な老後待ったなし!」なのですが、若い頃はそんなことお構いなしです。
「あ~あ」と思う反面、この、な~んも考えていないお気楽さが、懐かしくも愛おしいです。
せめてもの救いは、次の仕事が早めに見つかったことですね。
本当のところ、ブリジットは仕事に生きるタイプではないと思うのですが、仕事に生きる女というものに憧れているのです。
「憧れ」とは違うかな。これも「現代女性たるもの、そうでなくてはならぬ!」という思い込みでしょうか。
だから、ダニエルにアプローチするのにも、仕事のできる、知性あふれる女性を演じようとして大自爆していました。
もうね、中身がないのだから無理でしょうと思うのですが、つい取り繕ってしまうのが若さなのです。
次の職場のテレビ局でも、ブリジットは相変わらずのダメダメぶりなのですが、なんとマーク・ダーシーに助けられて独占インタビューを物にします。
マークは売れっ子の弁護士で、そりゃ、母親から贈られたトナカイ柄のセーターは「ないよね~」と思いますが、人間は中身です。しかもスーツ姿のマークは素敵なのです。
そして、マークと親しくなるにつれ、彼本来の姿が見えてきます。
そうそう! それでいいのですよ!
母親の勧める相手に落ち着くなんて、現代的なキャリアウーマンたるブリジット(笑)には癪に障ることではありますが、落ち着くところに落ち着いたわけです。
“親の意見と茄子の花は千に一つも仇はない”とは、親が子を思ってする助言はすべて有益だからちゃんと聞け、という意味です。
結局のところ、専業主婦とかキャリアウーマンとか関係なく、伴侶を見つける秘訣はもっと簡単なことだったのだと思います。
ただ、マークに関しては“当たり”でしたが、ブリジットの母という人はかなりブッ飛んでいて、夫(ブリジットの父)がいるのに顔色が紫色の男と付き合い出し、その上あっけらかんと、夫婦で属しているコミュニティに紫男をつれてくるのです。
「カップルが1単位」が身に染み付いている母だから、そうするのが当然なのでしょう。
しかしブリジットの父だって、同じコミュニティに属しているのです。昔なじみの友人夫婦宅のパーティーに行くと、妻が愛人と腕を組んで歩いているのですよ。母の神経がすごすぎて、もう。
そんな母親の言うことを、すべて鵜呑みにしろというのも無理がありますが、既婚でありながら複数の男に愛される母のあり方は、確かに勉強になるな~とは思うのでした。
あの頃の私達がいるよ
さて、母には母のコミュニティがあったように、娘のブリジットにはブリジットのコミュニティがありました。
ブリジットの恒例のお仲間は、ジュードとシャザとトムです。たぶん、みんな三十路で、確実に独身です。
彼女達の女子会はめちゃくちゃ楽しそうですよ。
女子会では、皆プカプカと煙草を吸い、アルコールを摂取しております。時代ですね~。
そりゃね、褒められたものじゃないのは理解しておりますし、私も煙草をきっぱりと止めて2~30年は経っているのですが、ブリジットたちがくだらない(ごめん)話を熱心に、真剣に、語り合いながら煙草を燻らせている姿を見ていると、「ああ~、1本ちょうだい~」と言いたくもなるのです。
あの、どぉおお~でもいいことを、最重要課題のように話す楽しさ。そして傍らには煙草と酒。なんという至福。
ただですね、ジュードたちのアドバイスは、正直、有益どころか害になっている場合もあって、「ブリジット! 聞いちゃだめ!」と叫びそうになります。
男を落とすのに「知性をあふれさせろ!」と言ったのも彼女達です。
「ブリジットに、そのアドバイスする~?」と、私は身悶えしましたよ。
おかげで大恥かいたブリジットです。まあ、そんなアドバイスを実行するブリジットも悪いのですけどね。
ですが、ジュード達がブリジットを大切に思っているのは確かで、ブリジットが落ち込んだときには、確実に心の支えになってくれます。
ああ、楽しい時代だったな~と、ブリジットとその仲間たちを見ていると思います。
アラサーで独身で、親もまだまだ元気な彼女たちは、仕事や恋愛に振り回されつつも、友人のために十分な時間を使うことができて、そうできる気楽さに無頓着です。
ああ羨ましい!
現地点から振り返ってみれば、「アラサーの頃なんて十分青春だったんだな~」と思えるし、「楽しい時間だったな~」と感じます。
というわけで、この映画では叫んだり、しみじみしたりと、忙しい初老なのでした。
映画情報
製作国/アメリカ・イギリス
監 督/シャロン・マグワイア
出 演/レネー・ゼルウィガー/コリン・ファース/ヒュー・グラント
日本での公開も2001年です。
原作はヘレン・フィールディング氏の同名小説です。
原作が大人気だっただけに、映画化されるときは配役が話題になりました。
誰がやっても、きっと賛否あって、いろいろ言われるんだろうな~と思っておりましたが、レネー・ゼルウィガーが主演と決まると、やはり「はあ? もっとリアルなところで選べよ!(怒)」という感じに言われていましたよ。
だってレネー・ゼルウィガーといえば、顔ちっちゃいし、可愛いし、すらりと細いイメージでしたからね~。
しかし、レネーの役者根性はすごかった。
ブリジットを演じるために10kg前後の増量をしたのですよ。
増量しても彼女は可愛かったですけどね。しかも足なんて、増量後もきれいなままでしたし。彼女の足だけが映るシーンがあるので、よく見ててくださいね~。
・
・
・
・
↓ダメンズながら愛あるヒュー・グラントが見られる映画
コメント