映画『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』ネタバレ感想 タイムトラベルできることは幸せか

父と散歩 シネマ手帖・洋画
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不思議な映画なのですよ。

ウィキペディアによるとSF恋愛映画だそうです。

どないやねん。

なんかもう、カテゴリーなんて、言ったもの勝ちですね。

でも、それでいいのです。SF恋愛映画でもファンタジー映画でも、要は、その映画が自分にとって面白いかどうかです。

というわけで、この映画の感想を語っていこうと思います。

「私も語りたい」という方、「まだ見てないけど興味ある」という方、どちら様も、ぜひ最後までお付き合いください。

ただしネタバレ・あらすじを含みます

お嫌な方はここまででお願いいたしますm(._.)m

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映画『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』ネタバレ感想

記憶がおぼろになっている方&見ていない方のために、簡単なあらすじを。

ティムは、父と母、キットカットと呼ばれる妹、母の兄であるデズモンド伯父と共に、海辺の家で暮らしていた。変わっているところもあるが、ごく普通の家庭だと思っていた。しかし21歳の誕生日、ティムは父から、我が一族の男性はタイムトラベルができると打ち明けられる。その能力を使って、ティムは人生をより良いものにしようとする。

タイムトラベル能力 幸せなこと?

タイムトラベルができる力をあげてもいいよ、と言われたら。

もらいますか? もらいませんか?

私は正直、ほしいかな。

うまい話には裏があるというか、いいことばかりは続かないと分かっていても、です。

というより、最初から、ティム父が、この能力のせいで、破綻してしまった一族の男性の例を上げています。

ティムのお祖父さんは、能力の使い方をあやまって、友達を失くしたそうです。

フレッド伯父さんは、金儲けに走って人生を棒に振ったそうです。

なので、自分が幸せになるためだけに、この能力を使え、と父から言われるのです。

的確なアドバイスを受けても、それでも、やっぱり、タイムトラベルは難しい。

過去に戻ってうまくやったつもりが、その後の展開が大きく変わってしまうことも多々あります。

例えば、彼女が欲しいティムは、ある日、暗闇レストランでメアリーという女性に出会います。この人だ!と思うのですが、ティムはその日の夜、タイムトラベルをしてしまったため、メアリーとの出会いはなかったことになってしまいます。

もう、ティムったら、SF小説を読んだことがないのかしら?

でも、そこで諦めないのがティムのいいところです。ティムはさらに2回タイムトラベルを繰り返し、なんとかメアリーと恋人同士になることができたのです。よかった!

恋人を獲得できるかどうかの大問題だけでなく、他の、ちょっと小さめな問題でも、だいたい、2、3回はタイムトラベルを繰り返していますね。

これ、私はすごく分かるんですよね。1回やり直しても、あそこはもっとこうすればよかったって、後で、絶対思うのですよ。

私は優柔不断ですから、タイムトラベルなんてできた日には、同じ時間をループし続けるのではないかという不安があります。

そうなったら地獄かも……。

ほしいけど、私には過ぎた能力だなと思います、タイムトラベル。

そして、ティムも、その能力のせいで、苦しい決断をしなければならなくなります。

お父さんが癌だと分かり、分かったときには、余命幾ばくもないという状況でした。

この時点でティムには子供がいて、父を助けるためとはいえ、子供が生まれるより以前には戻れません。戻れば、子供そのものの存在が消えたり、変わってしまう可能性があるからです。

事実、ティムが妹のキットカットのため、子供が生まれる前に戻ったとき、帰ってきてみてると、娘のポージーは息子になっていました。

ティムの中にポージーの記憶が残っている以上、これは受け入れられませんよね。

もちろんティムはタイムトラベルをやり直して、ポージーを取り戻します。

そんなわけで、父の命を救うためであっても、癌の原因を作った時代まで遡ることはできないのでした。

父が亡くなって、ティムは葬儀の日、過去の父に会いに行きます。父は相変わらずの様子で、書斎のソファで本を読んでいました。

息子の顔を見て、父はすぐ、ティムがタイムトラベルしてきたティムだと気づきます。

「どこから来た?」「今日は父さんの…」「ああそうか…。デズモンドのスーツはキマっているか?」

ここの会話、大好きです。自分の葬儀の日、たまらずやってきた息子に、父は本を読んでやります。

それからも、ティムはたまに、タイムトラベルでお父さんに会いに行っていました。

しかし、愛するメアリーから、3人目の子供を作りたいと言われます。

これ、苦しい決断ですね。

子供を作ってしまえば、もう父に会いに行くことはできません。

タイムトラベルができない普通の人は、誰かがあの世に旅立つ瞬間、嫌でもその人と決別しなければなりません。問答無用にです。

とてもつらいことですが、選択肢があるのも、また、つらいことかもしれないと、ティムを見て思いました。

3人目の子供を諦めれば、ずっと父に会い続けることができます。

でも、それは、あまりいい考え方ではないですね。それはティムも分かっています。

だから、3人目が生まれそうな夜、ティムは最後にと、父に会いに行くのです。

つらいな~とは思いました。

でも、永遠のお別れって、突然やってくることもあります。言葉を交わす暇もないほどに。

それを思うと、「さよなら」を言える時間を持てることは、ちょっと羨ましい。

結論。私にタイムトラベルは過ぎた能力ですが、1回、もしくは2回、いや3回……数回、その力を使うことができたらいいな、と思うのです。

幸せとは近景で事足りる

皆でお茶を

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ティムは亡くなる前の父から、秘密の教訓を打ち明けられます。

一つは、普通の生活をすること。

もう一つは、日常をほぼ同じやり方で、もう一度繰り返すこと。

一つ目は分かりやすいですよね。普通が一番ということです。

二つ目は、人生1回目だと、周囲に目を向ける余裕もなく、楽しむことができない。でも2回目だと、余裕もでき、1回目には気付かなかった幸せに気付くことができる、だそうです。

お父さんの教訓通りに、ティムは生活してみます。

確かに、慌ただしくて余裕なく過ごした1日も、2回目では、笑みも浮かぶし、周囲の人を気遣うこともできるようになります。

ですが、ティムは自分なりの教訓を得て、タイムトラベルを必要としなくなります。

2度目の人生を生きるように、1度目の人生を大切に、家族と共に生きる。これがティムの教訓です。

映画の終わり、愛おしそうに、娘ポージーを見送るティムは、とても幸せそうでした。

人は、特に若いうちは、あれもこれもと欲しがったり、高学歴や高スペックを望んだりします。もちろん、それも大切ですが。

ですが、本当に大切なものは、もっと身近にあるのではないですか? なにか見落としてはいないですか?と、この映画は教えてくれているのだと思います。

私はお一人様ですが、それでも大切にしたいものがあったはずで。

最近、それが思い出せないのですが、この映画を見て、少し、ちゃんと考えよう…と思ったのでした。

いや、いい映画だわ。

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映画情報

製作年/2013年
製作国/イギリス・アメリカ
監 督/リチャード・カーティス
出 演/ドーナル・グリーソン/レイチェル・マクアダムス

日本での初公開年は2014年です。

監督のリチャード・カーティスさんは脚本家でもあります。

前回ご紹介しました『イエスタデイ』や『ノッティングヒルの恋人』、『ブリジット・ジョーンズの日記』の脚本もこの方。

ところで『ノッティングヒル』のヒュー・グラント、めっちゃ格好良くなかったですか?

昔友人にそう言いましたら、あの映画のあの役が好きって…と、複雑な顔をされた記憶があります。なぜだ(汗)

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