エディ・マーフィ主演の、ただただ、楽しめばよい映画です。
懐かしのエディ・マーフィを楽しみ、クリスマス気分を楽しみ、ファンタジーの世界を楽しむのです。
「ビバリーヒルズ・コップ、好きだったわ~」という方も、「クリスマスの雰囲気、大好きなのよね~」という方も、よろしかったらお付き合いください。
ただしネタバレ・あらすじを含みます。
お嫌な方はここまででお願い致しますm(_._)m
『キャンディ・ケイン・レーン』ネタバレ感想
記憶がおぼろになっている方&見ていない方のために簡単なあらすじを。
クリスマスに憑かれた男の負けられない戦いがここにある
クリスマスとは、初老になってもなお、ワクワクするものです。
私の親世代のご近所さんも、「私だってワクワクするわ~」と言われていたので、クリスマスは老若男女の心を踊らせるもののようです。
でも、クリスマスの何がそんなに心を踊らせるのでしょう?
それはもちろん、クリスマス・イルミネーション!
これに尽きます。
いやいや、クリスマスと言ったら、もっとあるでしょ!? 家族の団欒とか世界平和をみんなで祈るとか!! と言われるかもしれませんが、ワクワクですよ? ワ・ク・ワ・ク♪
というわけで、クリスマス・イルミです。
近年は普通のご家庭が家屋や庭をデコレイトされて、ご近所でもイルミネーションが楽しめて嬉しい限りです。
この映画の舞台となった町は実在する町で、その町の中にある住宅街がクリスマスのデコレイトに力を入れているそうです。
そんな住宅街の、一軒の家の主であるクリス。
彼はクリスマスが大好きです。3人の子供たちにも、クリスマスにちなんだ名前をつけているくらいです。
奥様の名前もキャロルだし、もしや結婚の決め手はそこなのかと邪推してしまいます。
クリスマスの飾り付けで有名な住宅街に住んでいるのも、偶然ではなく彼の意志なのかも。
そんなクリスなので、クリスマスの飾り付けにも全力投球で、庭には一つ一つ手作りした木彫りのクリスマス飾りが立っています。
お向かいの家では空気人形を一気に膨らませるだけ。
ただ、お向かいの空気人形のほうが断然ばえているのです。そりゃもう、誰が見てもそう思うくらい。
だから、これまで、お向かいの家は何度もコンテストで優勝しています。
つまりクリスの努力は報われていないのですね。
そして、なんだかクリスは、ついていません。誰よりもクリスマスを愛して努力しているのに認められないし、進学を控えた長女には自分の出身大学を拒絶され、長男は音楽の道に進みたがっていて、クリスは音楽より数学だと言って聞かせますが、彼は聞き入れません。
そこにダメ押しの解雇通告です。よりによって妻には昇進のチャンスがめぐってきます。家計的には妻に頑張ってほしいところですが、クリスの心境としては厳しいものがあります。
そんな時に舞い込んできた、コンテストの賞金10万ドルという話。なんでも今回はスポンサーが付いたとか。
クリスは俄然やる気になります。それまでも十分にやる気はあったのですが、自分のやり方を曲げて、既製品に手を出してまで勝つ気になったのです。
ですが店に行ってみると、クリスマス用の棚はカラ。ひどい店だと早々にバレンタインコーナーに変わっておりました。
季節物は早めに行かないとそうなるのですよ。
がっかりして帰る道すがら、次女にして末っ子のホリーが、見慣れない店を発見します。
高架下に、アンティークでいい感じのクリスマス雑貨の店があったのです。
そう言えば、昔、店名に“クリスマス”と入っている飲み屋さんがありました。一年中クリスマス・ムードのお店でした。
一年中クリスマス雑貨を扱っている店も見たことがありますし、やはりクリスマスって、宗教を超えて人を虜にする何かがありますね。
で、話はホリーが見つけた店に戻りますが、店内に入ってみると、それはそれは広くて、クリスマスツリーや人形であふれ返っておりました。
え? 高架下だったよね? 外から見たら、横も縦もこぢんまりとしたお店だったよね? と思いますが、目の前に広がる世界は、外観から想像もつかないほど広く豪華です。
もうファンタジーのド定番の展開です。タンスの奥は森に続いていた的な。
ド定番は大好きです。不思議な世界、ウエルカムです。
しかし、この店を経営して、獲物がかかるのを待っていたのが、実に性悪なエルフだったのでした。
このペッパーという名のエルフは、もしクリスが約束を守れなかった場合、人形になるという契約書にまんまとサインさせてしまいます。
ここから、クリスの絶対に負けられない戦いが始まるのでした。
今どきのリアルとファンタジー
さて、エルフと契約してしまったクリス。
何もしなければガラス人形にされてしまうこと、人形にならないためには金のリングを集めなければならないことを知ったクリスですが、そのときのクリスの言葉が今どきで笑えました。
“金のリング集め”をしなければならないと教えてくれたのは、クリスより先にガラス人形にされてしまったピップたちでした。
目の前に金のリングが落ちてきたとき、クリスと行動を共にしていた末っ子のホリーは、クリスにリングを取りに行くよう言います。
しかしクリスは、ピップたち人形が動いて喋るのは、タチの悪い誰かのいたずらだと言ってリングを取りに行こうとしないのです。
誰かがどこかから、話しかけてくる人形に驚いているクリスを動画に撮り、ネットにアップする気だなんて言うのです。
うん、確かに、リアルだと私もそう思うかも。
(あれ? これってドッキリ?)なんて、人形と話している間に頭の隅で考えたりして。時代ですね~。
テレビ中継されるんだ! とクリスが言ったときに、ペッパーが、ケーブルか配信かネットかと聞いたときも、今どきだな~と思いました。
そしてクリスが購入した、“クリスマスの12日間ツリー”はとても素敵なのですが、昔の私なら、現実にはこのツリーはあり得ないと思ったはずです。
でも今ならば、液晶やらなんやらで、こんなツリーも可能なのかな?と思えるのです。
インフルエンサーという単語も出てくるし、サンタさんの登場はバック・トゥ・ザ・フューチャーのパロディだし。パロディだと思うのですが、どうだろう? いや、パロディと“今どき”は関係ないですが。
サンタさんが黒人で盛り上がるのも、これも今どきと笑ってしまったし、映画なのに内輪受けっぽいノリが楽しかったです。
この映画は最初からアマゾン配信で、劇場公開はされていないようなのですが、そうなると勝手に思ってしまうのは、劇場公開に至らないと判断された映画なのかなということです。
いわゆるB級映画ですね。でもB級のノリは好きだし、この映画の場合は公開方法自体が今どきなのだなと思います。
そして、これだけ今どき要素が満載ですが、エルフにサンタ、人形にされてドールハウスに住む元人間たちというファンタジーの定番も満載で、クリスマスの12日間という積み上げ歌の仕掛けもあり、最後は家族のすばらしさを再確認するという、ファンタジーの王道をいく映画なのでした。
映画情報
製作国/アメリカ
監 督/レジナルド・ハドリン
出 演/エディ・マーフィ/ジリアン・ベル
2023年12月にアマゾンプライムより配信されたので、日本での公開も同じく2023年12月です。
キャンディ・ケインとは、言葉の通り、杖の形をした飴です。クリスマスツリーの飾りとしてもよく見ますね。
では、キャンディ・ケイン・レーンとは何でしょう?
これは、クリスマスの飾りを施した通りのことです。この映画に出てくる住宅街がそれです。
また、映画の中の重要な設定にもなっている「クリスマスの12日間」という歌。
私はこの歌のことをまったく知らなかったのですが、クリスマスからの12日間のことを歌った歌だそうです。
クリスマスが日本に定着してずいぶん経ちますし、クリスマスのことはよく知っている気になっていましたが、知らないことがまだまだあるな~と知ることのできる映画なのでした。
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