もう今更、紹介の必要もない伝説のバンド、クイーン。
そのボーカリストであるフレディ・マーキュリー視点の映画です。
もうね、私ごときが、クイーンを語るのはおこがましいと分かっているのです。
でも、彼らが車を売って、自分たちのアルバムを作る様子は、私自身の学生時代を思い出させました。
彼らは熱をもって、楽しんで、アルバムを作っていました。
あんなふうに楽しめたこと、いつが最後だったでしょう?
初老になっても、青春とか口にするのは恥ずかしいものですが、あの頃の熱を再び感じてみたいものです。
クイーンが私の青春そのものだった! という諸姉も、そうでもない諸姉も、ぜひご一緒に、『ボヘミアン・ラプソディ』で、ご自分の青春を思い出してみましょう。
胸が熱くなること間違いなしです。
ただしネタバレを含みます。お嫌な方はここまででお願いします。
『ボヘミアン・ラプソディ』あらすじ
ロンドンで活動するバンド・スマイルは、突然ボーカリストが脱退してしまい解散の危機だった。
移民出身のフレディがボーカルに名乗りを上げ、新たなベーシストも加わり、クイーンが誕生する。
ある日、フレディたちは車を売り、アルバムを自主制作する。その場にEMI(レコード会社)の関係者が居合わせたことから、クイーンはデビュー。
またたく間に人気者となり、その間にもフレディは、恋人メアリーにプロポーズする。メアリーも喜んでプロポーズに応え、フレディは公私ともに順調だった。
しかし、フレディは自身のセクシュアリティに気づき始め、仕事では「ボヘミアン・ラプソディ」のシングルカットについて、レコード会社の重役と対立する。
フレディの策が当たり、「ボヘミアン・ラプソディ」はヒットするが、私生活ではメアリーと破局、バンドメンバーとも溝ができ、孤独を深めた。
その後、20世紀最大のチャリテーコンサートと言われるライブエイドに出演の依頼がきたことから、クイーンは再び一つになる。
『ボヘミアン・ラプソディ』ネタバレ感想
それは誰もが見た青春の光…なんちゃって
伝説のバンド、クイーン。
伝説と呼ばれる人たちにも始まりはあります。
クイーンの面々はお金もなく、大学でのライブ活動をこなす日々。
そんなとき、フレディが、さらなる高みを目指そう、アルバムを作ろうと言い出します。
お金はバンドメンバーのワゴン車を売って作りました。
ジョンとロジャーが渋い顔をしていましたので、どちらかの車かな?
フレディは全然おかまいなしって顔してます(笑)
フレディたちは、スタジオの人から「学生バンド」と言われますが、いい意味で本当に学生みたいです。
録音スタジオを借りている目一杯の時間を使って、コーラスの音を左右に振ってみたり、ドラムの上にコインを置いたり、やかんやバケツを使ってみたり、いろんな方法を試します。
遊んでいるように見えるけど、みんな真剣。真剣に楽しんでる。
そこにレコード会社のスカウトマンがやってきて、クイーンを発掘するのです。
この、自主制作のレコーディング風景が私は大好きです。
他人から見たら実に下らないことを、好きな仲間と一緒にできた日々。私にもそんな日々があったことを思い出しました。
レコーディング後、フレディたちは、マネージャーとなる男から、クイーンと、他のバンドの違いを尋ねられます。
フレディは、俺たちははぐれ者で居場所がない、音楽が居場所だと言います。
続けてブライアンが、おれたちはファミリーだと。
クイーンがはぐれ者!?
居場所がない!?
いえ、まあ、まだ何者にもなっていない若者の言葉としては、ありがちですね。
でも、ブライアンの言葉は胸に響きます。
俺たちは家族だ。
いいなあ。
この成功前の、希望や自信にあふれた若者たちの顔が、実に眩しく見えるのです。
光が強いほどに影も濃い…なぜ?
クイーンの成功とは裏腹に、プライベートでのフレディは急降下していきます。
一つには彼のセクシュアリティの問題があります。
フレディは自分のことをバイだとメアリーに告白しますが、メアリーからは、「あなたはゲイだ」と言われます。
でもフレディは家族を求めているし、メアリーにも側にいてほしい。
いや、それ、メアリーにとっては拷問に等しいですよね。メアリーの心が離れていくのは仕方ありません。
また、クイーンのメンバーも結婚していき、子供もできます。
いくら「クイーン」がファミリーだとしても、現実のファミリーとは意味が違います。
それはフレディだって分かっているのでしょう。
でも孤独に耐えきれないフレディは、どんどん嫌なやつになっていきます。
ゲイに対して厳しい時代だったということもあると思います。
クイーンのデビューは71年とされています。それから考えると…考えたくないけど…まさかの半世紀前!
私の印象ですけど、イギリスは日本より夫婦の単位が重視されていて、また、宗教的にもゲイに対する風当たりが強い気がします。
特に半世紀前なら、その傾向も強かったでしょう。
バンドが華々しく成功しただけに、マスコミにあることないこと書かれたりして、同情する部分は多分にあります。
マスコミに追求されるシーンは、ほんと、マスコミって何様?と腹立たしくなります。
それでも、フレディの側には、彼を大切に思う人たちがいたのです。
それだけじゃ満足できなかったことが、フレディの本当の闇だったのかなぁ、なんて思うのです。
圧巻のライブエイド ひたすら楽しい!
20世紀最大と言われたチャリティコンサートが、この映画の締めです。
イギリスのメイン会場であるウェンブリースタジアムは、目眩を感じるほどの人人人です。
季節は7月。野外ライブの熱気と興奮は、画面を見るだけで伝わってきます。
もうね、再現率が高すぎて、会場の作りはもちろん、ピアノの上に置かれたペプシのカップや、ステージ脇に控えているスタッフまで、本当にライブエイドの映像を見ているみたいです。
そしてフレディを演じているラミ・マレックのフレディ再現率たるや、すごいの一言。
もうね、このライブを楽しまなきゃ損!って感じです。
本物のライブのように見せて、映画としての演出も効いています。
観客席のど真ん中にあるスタッフ用のテント、たぶん調光室だと思いますが、そこにいるクイーンのマネージャーや、横に立つスタッフまでが、観客と一緒になって手を上げているのが、ステージから映した場面で見えるのです。
マイアミと呼ばれるマネージャーは、最後までフレディを見捨てなかった、彼の復帰を喜んでいるのだと思うと、胸が熱くなりました。
そういえば、マイアミさん、クイーンが出る前に、勝手に音響のレベルも上げていました(笑)
この最後のライブシーンは、何も考える必要はありません。
ただ、観客とクイーンとマイアミさんと一緒になって、私たちも腕を上げ、手を叩き、ひたすらに歌おうではありませんか。
映画情報
製作国/イギリス・アメリカ
監 督/ブライアン・シンガー
日本での初公開年も2018年です。
音楽プロデューサーは、クイーンのブライアン・メイとロジャー・テイラーです。
ブライアン・メイ素敵です。
昔の少女漫画に出てきそうな容姿といい、バンドマンで天文物理学者というギャップといい、かっこ良すぎ。
ウィキペディアによると、クイーンの活動が軌道に乗るまで、中学校の講師をしていたそうです。
その学校に通いたかった!
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